孔子

学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し

『論語』為政篇より。
「論語」学而 6

『論語』とは、孔子と彼の高弟の言行を孔子の死後、弟子達が記録した書物のこと。『孟...

其の罪を憎んで其の人を憎まず

第7章 『論語』にみる21世紀の経営学
原文:子夏曰、君子有三変、望之儼然、即之也温、聴其言也厲
現代語訳:君子は三つの変化を見せる。遠くから見ると、威厳があって恐れ多い。近くで接してみると温厚で、その言葉は厳しい。

君子に三変あり。
これを望めば儼然(げんぜん)たり、これに即けば温なり、其の言を聴けば厲(はげ)し

子張第十九-9
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P169
第6章 壊れた日本を修復する知恵―「礼」
原文:孔子曰、君子有九思、視思明、聽思聰、色思温、貌思恭、言思忠、事思敬、疑思問、忿思難、見得思義
現代語訳:孔子がおっしゃった。「君子は常に九つの事を考えねばならない。
見る時はよく分かって見ているかどうかを考え、聴く時ははっきり聴いているかどうかを考え、表情・態度が温和かどうかを考え、
容姿が恭々しいかどうかを考え、言葉が誠実かどうかを考え、政務には慎重かどうかを考え、疑わしく判断しにくいことは質問してもよいかどうかを考え、
憤ることが後の憂いにならないかどうかを考え、ある程度結果を得たらもっと得るかどうかを考える」

孔子曰く、君子に九思(きゅうし)あり。
視るには明(めい)を思い、聴くには聡(そう)を思い、色には温(おん)を思い、
貌(かたち)には恭(きょう)を思い、言には忠(ちゅう)を思い、事には敬(けい)を思い、
疑わしきには問いを思い、忿(いか)りには難(なん)を思い、得るを見ては義(ぎ)を思う。

季氏第十六-10
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P154
第6章 壊れた日本を修復する知恵―「礼」
原文:子曰、事父母幾諌、見志不従、又敬不違、労而不怨
現代語訳:孔子がおっしゃった。「父母に仕えて、もし彼らに過失があったら、それとなく諫めることだ。
もし父母が聞き入れなくても、あくまでも丁重に、逆らわぬようにし、心配はしても怨むことのないように」

子曰く、父母に事(つか)うるには幾(ようや)く諫め、
志の従わざるを見ては、又敬して違わず、労しし怨みず。

里仁第四-18
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P151
第6章 壊れた日本を修復する知恵―「礼」
原文:子曰、父母之年、不可不知也、一則以喜、一則以懼
現代語訳:孔子がおっしゃった。「父母の年は子どもとして知っていなければいけない。
ひとつには、それで長寿を喜べる、ひとつには、老いてゆくのを心配するためである」

子曰く、父母の年は知らざるべからず。一は則ち以て喜び、一は則ち以て懼る。

里仁第四-21
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P151
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第6章 壊れた日本を修復する知恵―「礼」
原文:子曰、父母在、子不遠遊、遊必有方
現代語訳:孔子がおっしゃった。「父母が健在のうちは、遠くに出かける時は、必ず行く先を知らせておかねばならない」

子曰く、父母在(いま)せば、遠く遊ばず。遊ぶこと方(つね)あり。

里仁第四-19
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P151
第6章 壊れた日本を修復する知恵―「礼」
原文:孔子曰、不知命、無以爲君子也、不知禮、無以立也、不知言、無以知人也
現代語訳:孔子がおっしゃった。「天命が分からなければ君子にはなれない。
礼儀が分からなければ、世に立っていけない。人の言葉が聞き分けられなければ、真に人の善悪を見分けることはできない」

孔子曰く、命を知らざれば、以て君子たること無きなり。
礼を知らざれば、以て立つこと無きなり。
言を知らざれば、以て人を知ること無きなり。

堯曰第二十-5
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P130
第5章 「知」と「学」が日本を救う
原文:子夏曰、博学而篤志、切問而近思、仁在其中矣
現代語訳:子夏が言った。「広く学んで、志をしっかりと定め、
疑問に突き当たったら機を逸せず人に教えを請い、現実の問題をじっくり考えれば、仁徳はそこに生まれる」

子夏が曰く、博く学びて篤く志し、切に問いて近く思う、仁其の中(うち)に在り。

子張第十九-6
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P120
第5章 「知」と「学」が日本を救う
原文:子曰、我三人行、必得我師焉、擇其善者而從之、其不善者改之
現代語訳:孔子がおっしゃった。「三人が連れだって行けば、必ず手本となる先生がいるものだ。
その中に長所があれば積極的に学び、欠点があれば戒めとしてそれを改めるようにしている」

子の曰わく、我れ三人行なえば必ず我が師を得る。
其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にして、これを改む。

述而第七-21
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P114
第5章 「知」と「学」が日本を救う
原文:子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼
現代語訳:孔子がおっしゃった。「聡明な人は少しも惑わず、仁徳のある人は憂いも心配なく、勇敢な人は恐れることはない」

子曰く、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。

子罕第九-107
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P107
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第4章 人と人を結びつける「信」と「義」
原文:子曰、非其鬼而祭之、諂也、見義不為、無勇也
現代語訳:孔子がおっしゃった。
「自分が祭るべき先祖でもないのに、それを祭るのは単なるへつらいにすぎない。当然行うべきことと知りながら、それを実行しないのは勇気がないからだ」

子曰わく、其の鬼に非ずしてこれを祭るは、諂いなり。義を見て為ざるは勇なきなり。

為政第二-24
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P92
第4章 人と人を結びつける「信」と「義」
原文:子貢問政、子曰、足食足兵、民信之矣、子貢曰、必不得已而去、於斯三者、何先、曰去兵、
曰必不得已而去、於斯二者、何先、曰去食、自古皆有死、民無信不立
現代語訳:子貢が政治について尋ねた。孔子が言われた。「食料を豊富にし、軍備を充実させ、人民の信用を得ることである。」
子貢言った。「もしどうしてもやむを得ない事情でこの三つのうちひとつを省くとしたら、どれを真っ先にとりますか。」孔子が言った。「軍備だね」。
「もしどうしてもやむを得ない事情で、残った二つのうちさらにひとつを省くとしたら、どれにしますか?」。
孔子が言われた。「食糧だね。どんな人間でも昔からいつかは死ぬとされているが、人民が信用しなくなったら国は成り立たないよ」

子貢、政を問う。子の曰く、食を足し兵を足し、民をしてこれを信ぜしむ。
子貢が曰く、
必ず已(や)むを得ずして去らば、斯の三者に於て何(いず)れをか先きにせん。
曰く、兵を去らん。
曰く、必ず已むを得ずして去らば、斯の二者に於て何ずれをか先きにせん。
曰く、食を去らん。古(いにしえ)より皆死あり、民は信なくんば立たず。

顔淵第十二-7
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P85
第3章 自己を完成する「仁」の道
原文:子曰、知者楽水、仁者楽山、知者動、仁者静、知者楽、仁者寿
現代語訳:孔子がおっしゃった。「聡明な人は水を愛し、仁徳のある人は山を愛す。
聡明な人は動を好み、仁徳のある人は静を好む。聡明な人は楽しみ、仁徳のある人は長命である」

子曰く、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。

擁也第六-23
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P77
第3章 自己を完成する「仁」の道
原文:子曰、惟仁者能好人、能悪人
現代語訳:孔子がおっしゃった。「仁徳のある人だけが、本当に人を愛したり、人を憎んだりすることができる」

子曰く、惟(ただ)仁者のみ能(よ)く人を好み、能く人を悪(にく)む。

里仁第四-3
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P75
第3章 自己を完成する「仁」の道
原文:子曰、不仁者不可以久処約、不可以長処楽、仁者安仁、知者利仁
現代語訳:孔子がおっしゃった。「仁徳のない人は長く逆境に耐えることはできず、また、長く安楽を享受することもできない。仁徳のある人は、仁の道に安住し、聡明な人は仁の道をどこに施したらよいか分かっている」

子曰く、不仁者は以って久しく約に処(お)るべからず。
仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。

里仁第四-2
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P71
第3章 自己を完成する「仁」の道
原文:子曰、仁遠乎哉、我欲仁、斯仁至矣
現代語訳:孔子がおっしゃった。「仁徳は遠いところにあるものだろうか? 仁を求めようと決心を固めれば、仁はやってきているのだ」

子曰く、仁遠からんや。我仁を欲せば、斯(ここ)に仁至る。

述而第七-29
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P68
第2章 偉大なる人間―孔子の素顔
原文:子曰、道不行、乗桴浮干海
現代語訳:理想の周の社会を作ろうとしたが、結局、だめだった。これからどうしようか。
そうだ、いかだに乗って川を下り海に出て、東の国でも目指そうか

子曰く、道行われず、桴(いかだ)に乗りて海に浮かばん。

公治長第五-7
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P56
第2章 偉大なる人間―孔子の素顔
原文:子曰、夫召我者、而豈徒哉、如有用我者、吾其為東周乎
現代語訳:(公山不擾が)私に頼みにきたんだから、それなりのことをさせてくれるのじゃないか。
だとしたら私は周の理想の政治をここで実現してみせようではないか

子曰く、夫れ我を召ぶ者にして豈徒ならんや。
如し我を用うる者あらば、吾は其れ東周を為さんか。

陽貨第十七-5
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P51
第2章 偉大なる人間―孔子の素顔
原文:子曰、吾十有五而志乎学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲、不踰矩

子曰く、吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑ず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳順う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。

為政第二-4
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P45
コラム 日本語の中の『論語』
原文:子曰く、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
協調することは大切だが、道理が外れたことに対して妥協することはない

和して同ぜず

子路第十三-23
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P199
コラム 日本語の中の『論語』
人びとを教え導く人。木鐸は木製の舌のついてある鉄製の鈴で、法令を人々にふれるときにならしたもの
原文:天、将に夫子を以って木鐸(ぼくたく)と為さんとす
現代語訳:天は、先生を木鐸として正しい道を後世に伝えさせようとしています。

木鐸

八佾第三
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P199
コラム 日本語の中の『論語』
原文:子曰く、暴虎馮河して死して悔いなき者は、吾れ与にせざるなり
血気にはやった無謀で危険な行い

暴虎馮河

述而第七-10
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P199(P90参照)
コラム 日本語の中の『論語』
原文:子曰く、己れを克(せ)めて礼に復(かえ)るを仁と為す
私欲や邪念に打ち勝ち、礼儀に従うようにする

克己復礼(こっきふくれい)

顔淵第十二-1
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P199(P131参照)
コラム 日本語の中の『論語』
原文:子曰く、後世畏るべし
現代語訳:後進の者は、本人の努力次第で将来どんな人物に成長するかわからないので、あなどってはいけない

後世おそるべし

子罕第九-23
孔健『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル,2003)P199

    うむ - 銘無き石碑