ローマ人の物語
帝国は、
傘下に置いた諸民族を支配するだけの軍事力をもつから帝国になるのではない。
傘下にある人々を防衛する責務を果すからこそ、
人々は帝国の支配を受け入れるのである。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)15p
互いに本音は出さずに建前だけで相対する人間関係は、
問題は収拾できてもしこりを残さずにはすまない。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)210p
人間とはしばしば、見たくないと思っている現実を突きつけてくる人を、
突きつけたというだけで憎むようになる。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)201p
人間とは、危険を知るや味方のいる方角に逃げるものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)173p
人間の多くは、安心できてこそやる気を起こすものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)154p
公共心とは、
いったん失われてしまった後では、取り戻させるのは実に難事なのである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)139p
公共心も、個人が、自分の利害と自分が属す共同体の利害は連動する、
と思えた場合に発揮されるものではないか
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)114p
人間社会とは、活力が劣化するにつれて閉鎖的になっていくものでもある。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)98p
実験を持たない権威は、真の権威にはなりえない。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)90p
心酔者とは、有用でもあるが困った存在でもある。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)90p
支配の政略としては最も下手(まず)いやり方である。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)86p
人間とは、軍事力で敗れたから屈服せざるをえなかった、とはわかっていても、
覇者にとっても自分たちが必要だとなれば、
覇権下に置かれていることへの抵抗感も薄らいでくるものである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)85p
しばしば女子供のほうが、大の男よりも残酷に振舞うものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)50p
嫉妬とは、自分よりも優越している者に対して憎しみの心をいだくこと
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)41p
はっきりしない状態でも行動せざるをえない場合に起こりがちなのは、
双方ともの誤解であるのだ
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)25p
結婚式が行われた小ぶりの礼拝堂の、祭壇に向って右側の壁に描かれていた文字
ナナミーは、キリストをローマ人(ROMANUS)に入れ替えた。
ナナミーは、キリストをローマ人(ROMANUS)に入れ替えた。
CHRISTUS VINCUT キリストが勝利し、
CHRISTUS REGNAT キリストが君臨し、
CRISTUS IMPERAT キリストが統治する
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)16p
結婚式というものは、
花婿か花嫁のどちらとも近しい関係にない者にとっては特別な感慨はない。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)16p
力量はありながら
それを活かすことを知らない時代に生まれてきてしまった人に対しては、
高所に立って批判することよりも、こうこうでした、と物語るしかないのである。
そしてこれが、私が歴史上の人物に対するときの、姿勢(スタイル)になって久しい。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)10p
亡国の悲劇とは、
活用されずに死ぬしかなかった多くの人材の悲劇、と言ってもよいと思う。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)10p
人材は、興隆期にだけ現れるのではない。衰退期にも現れる。
しかもその人材の質は、興隆期には優れ衰退期には劣るわけではないのだ。
興隆期と衰退期の人材面での唯一のちがいは、興隆期には活用されたのに
衰退期に入ると活用されない、ということだけである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)10p
亡国の悲劇とは、人材の欠乏から来るのではなく、
人材を活用するメカニズムが機能しなくなるがゆえに起る悲劇、ということである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)10p
神像のほとんどは裸像だ。
塩野七生 『ローマ人の物語40 キリストの勝利 [下]』(新潮文庫,2010)115p
熟慮の末に決断したわけでもない政策を正すことは、
単に正しい行為であって、先帝の名誉を汚すことではない。
塩野七生 『ローマ人の物語40 キリストの勝利 [下]』(新潮文庫,2010)101p
カネがあれば、人はそれを使いたくなる。
塩野七生 『ローマ人の物語40 キリストの勝利 [下]』(新潮文庫,2010)65p
他者に必要とされているという自覚は、非常な喜びを感じさせる。
塩野七生 『ローマ人の物語38 キリストの勝利 [上]』(新潮文庫,2010)208p