ローマ人の物語
衆愚政とは、人材の不足からくる結果ではなく、
制度が内包する構造上の欠陥が表面にあらわれた現象に思えてならない。
塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)69p
自由と秩序の両立は、人類に与えられた永遠の課題の一つである。
自由がないところでは発展も永続もできない。
塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)23p
衰退期に入った国を訪れ、そこに示される欠陥を反面教師とするのは、
誰にでもできることである。
だが、絶頂期にある国を視察して、その国のまねをしないのは、
常人の技ではない。
塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)21p
兵士ほど、指揮官の能力に敏感な者はいない。
無能な指揮官の下では、無意味に命を落とすことになるからである。
塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)53p
見える人には、常に見えている
塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)26p
キュージの王ポルセンナの拷問時
臆病者だけが、自らの肉体を大切に思うのだ!
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)132p
ガリウス・ムキウス
1
共和政ローマ初期の伝説的な人物。
タルクィニウス・スペルブスに対して
もしあなたが、わたしが考えていたような男だったら、
わたしはあなたを夫と思い、男としても尊敬するでしょう。
でも、もしそうでなかったら、わたしの運命は悪くなるばかり。
なぜ、踏みきらないのです。
なにもコリントやタルクィーニアのような、他国で行動せよと言っているのではない。
何を恐れているのです。
決心がつかないというなら、コリントでもタルクィーニアでも行ってしまったらいい。
そしてあなたも、昔の出にもどったらよいのです。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)103p
トゥーリア
1
王セルヴィウスの、勝ち気で気が強い方の娘。 暗殺された先王タルクィニウス・プリ...
『列伝』より
敗者でさえも自分たちに同化させるこのやり方くらい、
ローマの巨大化に寄与したことはない
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)58p
二千年後のわれわれときたら、学ぶべき歴史もやたらと増え、
おかげで無味乾燥な棒暗記をするしかなくなっている。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)133p
スキャンダルは、力が強いうちは攻撃してこない。
弱味があらわれたとたんに、直撃してくるものである。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)107p
人間の行動原則の正し手を、
宗教に求めたユダヤ人。
哲学に求めたギリシア人。
法律に求めたローマ人。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)76p
宗教は、それを共有しない人との間では効力を発揮しない。
だが、法は、価値観を共有しない人との間でも効力を発揮できる。
いや、共有しない人との間だからこそ必要なのだ。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)75p
商品をもって旅する商人は、
買ってもくれなければ売る品も作らない人々には、はじめから近づかない。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)48p
伝承伝説の世界では、合理的であるよりも荒唐無稽であったほうが喜ばれる。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)23p
青年期になされた蓄積が、三十にして起ったときにはじめて真価を問われる
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)28p
知力では、ギリシア人に劣り、
体力では、ケルト(ガリア)やゲルマンの人々に劣り、
技術力では、エトルリア人に劣り、
経済力では、カルタゴ人に劣るのが、
自分たちローマ人である
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず [上]』(新潮文庫,2002)20p
真の出版は言論の自由のないところには成立しえない。
そして言論の自由とは、精神的にも経済的にも自立しないかぎりは成立不可能。
塩野七生 『ローマ人物語1 ローマは一日にして成らず[上]』(新潮文庫,2002)4p