ローマ世界の終焉
『ローマ人の物語』シリーズの最後の言葉
書物とは、著者が書き、出版社が本にし、
それを読者が読むことで初めて成り立つ媒体だが、
この三者をつなぐ一本の赤い糸が、「想いを共有する」ことにあるのだから。
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)224p
人間的なしがらみが薄いと、なぜか人間は私腹を肥やすことに熱中するようになる。
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)138p
それ(苦)を国民に求めねばならない為政者に必要な資質は、
「苦」を「楽」と言いくるめることではなく、
「苦」は苦でも、喜んでそれをする気持にさせることである。
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)80p
文盲の東ゴート族が、文章を書けるローマ人を重用せずにはいられなかったことを受けて
ときには歴史は、微苦笑するしかないつまらないことによって動く
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)72p
自分自身に自信が持てなくなった人はしばしば、
ちがいをことさら強調することによって自信をとりもどせた気になる
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)16p
歴史には、進化する時代があれば退歩するもある。
そのすべてに付き合う覚悟がなければ、歴史を味わうことにはならないのではないか。
そして、「味わう」ことなしに、
ほんとうの意味での「教訓を得る」こともできないと信じている。
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)9p
時代が進めば人間も進化するとはかぎらない
塩野七生 『ローマ人の物語43 ローマ世界の終焉 [下]』(新潮文庫,2011)9p
一国の最高権力者がしばしば変わるのは、
痛みに耐えかねるあまりに寝床で身体の向きを始終変える病人に似ている。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)168p
小心者だからこそ、かえってキレやすい。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)146p
情報とは、何かを感じたということが端緒になり、
磁石でもあるかのようにそこに集まってくる性質をもつ。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)97p
人間は、誰かを頼ることに慣れると、もはや自力では立てなくなる。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)83p
特権を有する人々が閉鎖的になるのは、人間性の宿命でもある。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)38p
帝国は、
傘下に置いた諸民族を支配するだけの軍事力をもつから帝国になるのではない。
傘下にある人々を防衛する責務を果すからこそ、
人々は帝国の支配を受け入れるのである。
塩野七生 『ローマ人の物語42 ローマ世界の終焉 [中]』(新潮文庫,2011)15p
互いに本音は出さずに建前だけで相対する人間関係は、
問題は収拾できてもしこりを残さずにはすまない。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)210p
人間とはしばしば、見たくないと思っている現実を突きつけてくる人を、
突きつけたというだけで憎むようになる。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)201p
人間とは、危険を知るや味方のいる方角に逃げるものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)173p
人間の多くは、安心できてこそやる気を起こすものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)154p
公共心とは、
いったん失われてしまった後では、取り戻させるのは実に難事なのである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)139p
公共心も、個人が、自分の利害と自分が属す共同体の利害は連動する、
と思えた場合に発揮されるものではないか
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)114p
人間社会とは、活力が劣化するにつれて閉鎖的になっていくものでもある。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)98p
実験を持たない権威は、真の権威にはなりえない。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)90p
心酔者とは、有用でもあるが困った存在でもある。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)90p
支配の政略としては最も下手(まず)いやり方である。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)86p
人間とは、軍事力で敗れたから屈服せざるをえなかった、とはわかっていても、
覇者にとっても自分たちが必要だとなれば、
覇権下に置かれていることへの抵抗感も薄らいでくるものである。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)85p
しばしば女子供のほうが、大の男よりも残酷に振舞うものなのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語41 ローマ世界の終焉 [上]』(新潮文庫,2011)50p