再び男たちへ
「第1章 清潔度ということ」
戦争は悲惨で馬鹿げているからできうるかぎり回避されねばならないが、
一つだけ利点がある。
人間の欲求を単純化してくれるというメリットだ。
自分自身と身近な人びとの生存ということだけしか考えなくなるからである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)13p
「第1章 清潔度ということ」
クリーン度追求の風潮にもメリットとデメリットの両面がある。
メリットはこの期に大掃除をしようと思えばできることであり、
デメリットは、小人でもないものまでゴミと一緒に捨ててしまうことである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)16p
「第2章 人材について」
カルロ・ゼンの処置をめぐって、一委員の意見
カルロ・ゼンの処置をめぐって、一委員の意見
人材というものは、
これ以後生まれないのではないかと恐れているかぎり生まれないものであり、
反対に、そのような心配にわずらわされずに断固とした処置を決行する国家では、
生まれてくるものであります
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)20p
「第3章 容貌とは」
人は、リーダーの顔を見ながら前に進む。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)24p
「第5章 帰宅拒否症なる現象について」
私は、ネクラな現象を治すのにはネクラな方法で対処するしかないという考えに、
常に疑問を感じている。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)32p
「第11章 政治家とは」
民主制とは、五〇パーセントプラス一人の考えを実行に移すことである
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)56p
ジュリオ・アンドレオッティ
3
1919年1月14日生まれ。イタリアの政治家、上院議員(終身議員)。 首相(第...
「第11章 政治家とは」
以前より改善されているならば、まずは良しと考えるべきではないか
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)57p
ジュリオ・アンドレオッティ
3
1919年1月14日生まれ。イタリアの政治家、上院議員(終身議員)。 首相(第...
「第11章 政治家とは」
権力は、それをもたない者を消耗させる。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)57p
ジュリオ・アンドレオッティ
3
1919年1月14日生まれ。イタリアの政治家、上院議員(終身議員)。 首相(第...
「第12章 政治改革」
オトナになれない者が見事な老人になれるわけがないのである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)62p
「第13章 歴史について」
歴史というのは人間経験の集積である。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)64p
「第15章 フランス革命二百年・自由」
自由は誰もが欲する。
だが、この自由なるもの、それを駆使して生きるとなると意外と大変で、
すべての人がその緊張に耐えていけると考えるほうが非現実的なのではないか。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)73p
「第16章 フランス革命二百年・平等」
人間は所詮、認められるからこそ苦労もいとわない存在なのだ。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)76p
「第18章 女の反乱」
真の政治感覚をもつ政党など一つとして存在しない状況下では、
有権者の判断力は具体的に判断可能なことにしか発揮されないからである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)85p
「第19章 台所感覚」
人は、自分が慣れ親しんだことに頼りながら自らの考えを押し進めてゆくものである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)88p
「第19章 台所感覚」
具体的な基盤ということならば、一円玉は歴史に優る。
歴史には誰でも慣れ親しむことは不可能だが、一円玉ならば可能だからである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)88p
「第19章 台所感覚」
人は大局の判断を迫られた場合には誤りを犯しやすいが、
個々のこととなると意外と正確な判断をくだすものである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)89p
「第20章 イタリア魂」
外語大卒業後に一年間、ナポリで研修をしたんですけどね。
カルチャー・ショックなんてちっとも感じなかった。
私の生まれた河内と同じと思えばよかったんですから
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)91p
内田洋子
2
塩野七生の友人。河内生まれ。外国語大学卒業。
「第20章 イタリア魂」
卵を買おうとした時のこと、六個入っている箱の中の卵のうち、何と四個までひびが入っている。
もちろん店主に抗議した。店主はおだやかな口調で言う。
卵を買おうとした時のこと、六個入っている箱の中の卵のうち、何と四個までひびが入っている。
もちろん店主に抗議した。店主はおだやかな口調で言う。
店主:卵を料理する時、あんたならどうする。割るんじゃないかね
イエス
店主:神様があんたのそのための苦労を、四個まで代わってくださったということさ
この卵はゆで卵にしたいのよ
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)91p
内田洋子
2
塩野七生の友人。河内生まれ。外国語大学卒業。
「第24章 ワールド・プロブレム(その二)」
誰かが書いていたこと
誰かが書いていたこと
最善の方策とは、善意からは生まれない。
かえって、一見悪意と見えることから生まれるほうが多いものである
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)110p
「第25章 ワールド・プロブレム(その三)」
産ませてしまえば勝ち
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)114p
「第26章 女たちへ」
塩野:日本ではもう誰もがカメラをあやつる時代になりましたが、こういう状態になるとプロのカメラマンは困りませんか
塩野:日本ではもう誰もがカメラをあやつる時代になりましたが、こういう状態になるとプロのカメラマンは困りませんか
困るどころか歓迎しますよ。
なぜなら、こういうときこそプロとアマの差がはっきりするからです
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)114p
奈良原一高
1
1931年11月3日生まれ。日本の写真家。福岡県出身。
「第26章 女たちへ」
つまらない男たちが現状打破をはかろうとすると、しばしば姑息な手段に訴えるものだ
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)117p
「第27章 外圧について」
人間は、
もっとも至極と思うことには、少しも胸の熱くならないようにできている動物である。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)120p
「第27章 外圧について」
理で訴えられてその気になれるのは、少数派にすぎない。
多数派とは常に、胸を熱くする何かがないと動かないものなのだ。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)121p
「第27章 外圧について」
優れたリーダーとは、良き結果を得るためには良くない手段に訴えるくらい、
眉ひとつ動かさずにやってのけられる人種のことである。
塩野七生 『再び男たちへ』(文春文庫,1994)121p