男たちへ
犬のまねを懸命にする狼は、犬でもなければ狼でもない。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)230p
「第33章 不幸な男(その三)」
三十代の男は、相手次第で、
二十代にもどったり、四十代のような成熟さを示したりするものである
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)254p
「第1章 頭の良い男について」
『文藝春秋』の随筆欄に寄せた一文
『文藝春秋』の随筆欄に寄せた一文
女は結局のところ、頭の良いのが最高だ
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)13p
丸尾長顕
1
1901年4月7日 - 1986年2月28日 作家、演出家。
「第1章 頭の良い男について」
「頭の良い男」とは、なにごとも自らの頭で考え、それにもとづいて判断をくだし、
ために偏見にとらわれず、
なにかの主義主張にこり固まった人々に比べて柔軟性に富み、
それでいて鋭く深い洞察力を持つ男、ということになる。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)14p
「第1章 頭の良い男について」
日本では、教育はあっても教養のない男(これは女でも同じだが)は、
まったくはいて捨てるほど多い。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)14p
「第1章 頭の良い男について」
一番大事なのは、役者は手前の匂いを出すことだ。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)17p
丹波哲郎
1
1922年〈大正11年〉7月17日 - 2006年〈平成18年〉9月24 日) ...
「第2章 イタリア男、イギリス男に圧倒されるの巻」
「遊び」だって、伝統を背にしているという自信があるから、大胆にやれるのだ。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)26p
「第2章 イタリア男、イギリス男に圧倒されるの巻」
衣装とは、洋の東西を問わず、装うものであって装われるものではない。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)26p
「第3章 古き皮袋に新しき酒を」
派手な色を使ったからといって、華やかになるとはかぎらないのだ。
要は、使い方なのだから。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)29p
「第3章 古き皮袋に新しき酒を」
自由を制限されたところに真の自由が最もよく発揮される
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)31p
「第3章 古き皮袋に新しき酒を」
「真剣」にジーパンをはいている男など、
「真剣」に背広を着ている男とまったく同じに、こっけいそのものではないか。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)34p
「第3章 古き皮袋に新しき酒を」
遊びは、ヴァリエーションを愉しめるところにしか存在しない。
つまり、選択の自由が愉しめるところにしか、存在しないのである。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)34p
「第4章 再び、皮袋に新しき酒を」
ワイシャツも、背広の上着と同じ待遇を受ける理由が立派にある
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)37p
「第4章 再び、皮袋に新しき酒を」
1960年代のローマにて
1960年代のローマにて
この街を行く日本の殿方たちは、いずれもチャコール・グレイ
(当時の日本では猫もしゃくしもこの色を着ていた)の背広に白いワイシャツ姿。
これではまるで、ドブネズミの一群が行くのと変わりません。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)37p
「第5章 嘘の効用について」
嘘を有効につくことは、
真実さえ言っていればよいのと違ってたいへんに頭の良いことが要求されるのだ。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)42p
「第5章 嘘の効用について」
嘘とは、真実を言っていては実現不可能な場合に効力を発揮する、
人間性の深い洞察に基づいた、高等な技術の成果なのである。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)42p
「第5章 嘘の効用について」
嘘をついたという理由だけで叱るようでは、
子供の頭脳の正常な発達を阻害するだけであろう。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)43p
「第5章 嘘の効用について」
子供は大人がやってはいけないと言うことだけをやるために、
この世に生まれてきた存在である。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)43p
「第5章 嘘の効用について」
女の人には誰にでも、本当のことを言うことはないのよ。
女の人はみな、自分自身の本当の状態を知らないほどバカではないの。
だから、わざわざ男のあなたが、本当のことをわからせてあげることはないのです。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)44p
「第5章 嘘の効用について」
常日頃から無邪気にしても巧妙にしても、子供ながらに頭をふりしぼってついた嘘を、
笑って受けとめてくれていたほどの親なら、
子供は、大切な時には、意外と真実を語るものなのである。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)45p
「第5章 嘘の効用について」
子供自身に自分の得になるかの判断力がないから、悪の道に踏み込むのだ。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)45p
「第6章 再び、嘘の効用について」
口にして=発言して
口にして=発言して
どれくらい真実がふくまれているかどうかは、問題ではないのである。
口にして以後、真実がふくまれはじめてくるのだ。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)54p
「第6章 再び、嘘の効用について」
男は、絶対に、
彼自身の頭脳を通過したことでないかぎり、彼自身の心に定着させない。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)54p
「第6章 再び、嘘の効用について」
口にする=発言
口にする=発言
心の中で感じているうちは、自分の耳で聴くことはないのに反して、
いったん口にすると、誰よりもまず自分が聴くことになる。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)54p
「第6章 再び、嘘の効用について」
口にする=発言
口にする=発言
人間というものは、いかに心の中で思っていても、
それを口にするかしないかで、以後の感情の展開はちがってくるものである。
塩野七生 『男たちへ』(文春文庫,1993)54p
テーブルマナーを守りすぎたアラン・ドロンについて