悪名高き皇帝たち
女にモテた経験のない男というのは、選べるようになっても怖じ気づくのである。
塩野七生 『ローマ人の物語19 悪名高き皇帝たち [三]』(新潮文庫,2005)149p
古代ローマにかぎらずどこでも、女のおかげというのは蔑視される宿命をもつ。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)26p
人間はとかく、眼に映ることしか見ないものだからである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)42p
人間は、安全となれば定着する。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)106p
軍事力を使って脅した後で握手する、というのも外交である。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)130p
若い死は、誰に対しても哀惜の念を呼び起さずにはすまない。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)152p
妻になる望みも与えない男でもかまわないとは、女はなかなか思わないものである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)172p
必要に応じての手直しをほどこしてこそ、構築した当の人の意図の永続に通ずる
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)200p
「覇権者」をつづけるのも大変なのである。
覇権下に入った人々を守ってこそ、「覇権者」でありつづける権利をもつのだから。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)206p
組織とはいかに良くつくられていても、それを機能させるのはやはり人間なのである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)211p
誇り高い人とは、何よりもまず自分自身に厳しい人である。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)212p
普通の人ならば悲しみを克服して仕事に復帰する時期になって、
誇り高き人ははじめて、深く重い疲労感をおぼえるのではないだろうか。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)212p
妻というものはしばしば、
夫の仕事が平和時の統治ならばそれを贅沢の趣向で邪魔するものであり、
反対に夫の任務が戦争である場合は、恐怖によって同じく邪魔しがちなものである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)228p
女というものは、機会さえ与えられれば、残酷で策謀好きなものである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)228p
クレオパトラ、アグリッピーナ、カトリーヌ・ド・メディシス、則天武后、西太后…彼女たちを見れば、成程、と思う。 - 名言録
世界を覇権下に置く国家の指導者や市民には、
小国の人々ならば許される私的な悲観にあけくれる生き方は許されないのである。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)157p
ティベリウス
4
紀元前42年11月16日 - 紀元後37年3月16日 ローマ帝国の第2代皇帝(...
「彼ら(ローマ人)は破壊と殺戮、掠奪を偽りの名の下に「統治」と呼び、瓦礫の野を作ると、それを「平和」と呼ぶ」
(タキトゥス) - 名言録
ディベリウスの業績を讃え、彼に捧げる神殿を建てたいとの提案に対して、彼が断った際の言葉
わたし地震は、死すべき運命にある人間の一人にすぎない。
そのわたしが成す仕事もまた、人間にできる仕事である。あなた方が
わたしに与えた高い地位に恥じないように努めるだけでも、すでに大変な激務になる。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)212p
ティベリウス
4
紀元前42年11月16日 - 紀元後37年3月16日 ローマ帝国の第2代皇帝(...
現代(2011年時点)の研究者の一人が、このラテン語の格言くらい、皇帝ティベリウスにふさわしい句もないのではないかと言っている。
FATA REGUNT ORBEM! CERTA STANT OMNIA LEGE
(不確かなことは、運命の支配する領域。確かなことは、法という人間の技の管轄)
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)213p
病に伏したアグリッピーナは、見舞いにきたティベリウスに涙を流しながら訴えた
貞節な女にとって唯一のなぐさめは、正式な結婚しかないのです。
塩野七生 『ローマ人の物語17 悪名高き皇帝たち [一]』(新潮文庫,2005)218p
人間はいつの世でも、
欠点を改良しようとさえもしない存在であることでは変りはないのだ。
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)18p
情報の速度とは相対性で考えるべきで、絶対性ではない
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)22p
相手が馬鹿者であればあるほど、何をどう伝えるかは難事になる
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)86p
常に弱者の立場にありつづけた民族は、被害者意識から自由になることがむずかしい。
そのタイプの人々は、拠って立つ唯一のものが被害者意識であるがゆえに、
強者に対しては過敏に反応しがちなのである。
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)181p
人間ならば誰でも多少なりとも胸の内に秘めている
人種差別の感情が意識されるようになるには、二つの条件が整う必要がある。
第一に、毎日顔をつき合わせて生活をする間柄であること。
第二に、それでいて利害が一致しない関係にあること。
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)190p
テロ行為とは、文明が未熟であるから起こるのではない。
選挙による落選という手段を奪われているから、
やむをえずテロに走るというのでもない。
権力が一人に集中しており、
その一人を殺せば政治が変わると思えるから起こるのである。
塩野七生 『ローマ人の物語18 悪名高き皇帝たち [二]』(新潮文庫,2005)208p
他の職業人に比べて政治家が非難されやすい理由の一つは、
政治とは誰にでもやれることだという思いこみではないだろうか。
(中略)
民を主権者とする政体とは、
政治のシロウトが政治のプロに評価を下すシステム、と言えないであろうか。
(中略)
政治家が挑戦すべきなのは、政治のプロとしての気概と技能は保持しながら
同時に挑戦シロウトの支持を獲得するという、高等な技なのである。
塩野七生 『ローマ人の物語19 悪名高き皇帝たち [三]』(新潮文庫,2005)10p