ウィリアム・シェイクスピア 519

1564年4月26日 - 1616年4月23日
イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている...-ウィキペディア

根性のまがったやつが神聖な句を楯にとるのは悪魔が作り笑いをするのと同じだ。


    そんな奴を実社会でたくさん見てきたよ - 銘無き石碑
Time and the hour runs thought the roughest days.

どんなに酷い嵐の日でも、時は駆け過ぎて行く。

(『マクベス』第一幕第三場)コロナの猛威に屈してはいけない。シェイクスピア生誕の日(4月26日)に思いました。
My counsel is my shield.

おれの助言者はおれの盾だ。

リチャード三世(第四幕第三場)
True hope is swift, and flies with swallow's wings.

真の希望はつばめの羽で素早く天を翔ける。

『リチャード三世』(第五幕第二場)
Let the candied tongue lick absurd pomp,

砂糖まぶしの甘いおべんちゃらの舌は、見掛け倒しの気取り屋どもを舐めまわすがいい。

『ハムレット』第三幕第二場
Murder, thought it have no tongue, will speak.

人殺しは舌を持たずとも、思いがけぬところで、その罪を自ら白状してしまう。

『ハムレット』第二幕第二場
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The devil hath power to assume a pleasing shape.

悪魔という奴、愛らしい姿を装う力を持っている。

『ハムレット』第二幕第二場
And your large speeches may your deeds approve, That good effects may spring from words of love.

御高説を自らの行いで証明なさい、愛の言葉が、良い実りをもたらしますように。

(『リア王』第一幕第一場)老いて娘たちへの財産分与を決意したリア王。三人の娘を呼び、「一番深くわしを愛してくれた者に、相応しい贈り物を与える」と宣言。二人の姉娘、ゴネリルとリーガンは「自分の目よりも、自由よりも御父様を愛します」等と、歯の浮くようなお世辞で老王を誑かします。しかし末娘のコーディリアは父への真の愛から「ただ義務として御父様を愛します」と直言。王は激怒し、彼女に絶縁を申し渡します。コーディリアの真心を知るケント伯は必死で王を諫めますが、追放を命じられてしまいます。ケントが宮廷を去る前にリアの姉娘たちに行った台詞ですが、口先だけの「愛情」への皮肉が込められています。
Like madness is the glory of this life.

人生の栄光など、狂気のようなものさ。

(『アセンズのタイモン』第一幕第二場)裕福でお人よしの貴族タイモン。彼の館で毎日のように催される宴会に、御馳走とお金目当てに集まる俗物たち。彼らの心の醜さなど知る由もないタイモン。日頃誰にでも親切に施しをすれば、「もし私が困ったとき、彼らは助けてくれる」御目出度くも信じています。現実の醜さを知り尽くした皮肉屋の貴族アぺマンタスは、タイモンの度が過ぎる親切ぶりを嘲り、宴会で歌い騒ぐ偽善者たちの狂態にあきれて上記の台詞を口にします。追従屋たちの「笑顔」ほど信用できないものはない。やがてタイモンはそれを身をもって知ることになります。
There is thy gold; worse poison to men's souls, Doing more murders in this loathsome world Than these poor compounds that thou mayst not sell:

ほら、金だ。こいつの方が人間の魂には毒だ。 お前が売ることを許されぬつまらん毒薬などよりな、 この忌まわしい世の中では、金の方がもっと多くの人の命を奪っているのだ。

(『ロミオとジュリエット』第五幕第二場)今の社会、金銭ほど人の心を蝕む「毒薬」は無いのではないか。
Sith thus thou wilt appear, Freedom lives hence, banishment is here.

あなたが飽くまで意地を張られるのなら、
自由は去り、追放のみがこの国を支配するでしょう。

(『リア王』第一幕第一場)リア王を諫めるケント伯の台詞。どこぞの首相にも言ってやりたい言葉ですね。
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A man can die but once. We owe God a death. I’ll ne'er bear a base mind. An ’t be my destiny, so; an ’t be not, so. No man’s too good to serve ’s prince, and let it go which way it will, he that dies this year is quit for the next.

人間一度は死ぬ。死ぬことで俺たちは神様に頂いた命の借りを返す。卑怯下劣な根性なんて真っ平御免さ。死ぬのが運命(さだめ)なら良し、死なないならそれも良し。王子様の為に尽くして勿体無いなんて奴はいないよ。どうとでもなるがいい、今年死ねば、来年は死ななくていいんだから。

(ヘンリー四世第二部・第三幕第二場)田舎の村に募兵の為にやって来た、飲んだくれの騎士フォールスタッフ。金の有る者たちは彼に賄賂を握らせて兵役を逃れますが、貧しい男達は容赦なく軍隊に送られます。彼らの一人が口にした台詞ですが、死の恐怖を諧謔と諦念で紛らわせようとする哀しさが伝わってきます。
Nothing will come of nothing.

無からは何も出ぬ。

(『リア王』第一幕第一場)財産目当ての姉娘たちの見せかけだけの「愛の言葉」に騙されて、莫大な財産分与を約束してしまったリア王。最愛の末娘コーディリアには、姉娘たち以上の優しい言葉を期待します。「お前はどれほどわしに孝養をつくしてくれるか」と問いますが、真心から父親を愛し、姉娘たちの下心を見抜いているコーディリアは「何もありません」と答えます。愛娘の思いがけない言葉に呆然としたリア王の台詞。本当に「無」であるのは、愛情を履き違えた彼の心であることが分かります。真の愛情は金や物には変えられないのです。

計算ずくの恋は卑しいものだ。

恋がもし盲目なら その矢はいつも外れるはず。

I loved Ophelia. Forty thousand brothers, Could not with all their quantity of love Make up my sum. 

おれはオフィーリアを愛している。四万人の兄たちの愛をすべて合わせても、おれの愛には及ぶまい。

(『ハムレット』第五幕第一場)

    女が喜ぶ台詞 - 銘無き石碑

クレオパトラ:おっしゃって下さらない、わたしをどのくらい愛しているかを。
アントニー: 数えられる愛など、貧しい愛だ。
クレオパトラ:遠く、その愛のはてを見てみたいの。
アントニー: 君は新たな天、新たな地を見出さずにはいられまい。

『アントニーとクレオパトラ』第一幕第一場から)真の「愛のかたち」とはこういうもの。

    参照した原文は以下の通り。
    CLEOPATRA: If it be love indeed, tell me how much.
    ANTONY: There’s beggary in the love that can be reckoned.
    CLEOPATRA: I’ll set a bourn how far to be beloved.
    ANTONY: Then must thou needs find out new heaven, new
    Earth. - 名言録

    ロマンティック!! - 銘無き石碑

Merciful heaven,
Thou rather with thy sharp and sulphurous bolt
Splits the unwedgeable and gnarlèd oak,
Than the soft myrtle. But man, proud man,
Dressed in a little brief authority,
Most ignorant of what he’s most assured,
His glassy essence, like an angry ape
Plays such fantastic tricks before high heaven
As makes the angels weep,
慈悲深い神よ、あなたの鋭い、地獄の業火のような雷は、楔も歯が立たないコブだらけの巨木をも引き裂いてしまわれますが、か弱い草花はお見逃しになる。でも人間は、ちっぽけな権威を身にまとっている傲慢な人間は、わが身のガラスのような脆さをつゆとも知らず、怒った猿のように、滑稽極まりない悪ふざけを神様の前で演じ、天使たちを泣かせているのです。

『尺には尺を』(第二幕第二場)

人間もチョウのようなもの、鱗粉に彩られた羽を広げるのは夏のあいだだけだ、どんな人間も、人間の中身だけで尊敬されることはない。