尾川正二 8

1917年4月28日 - 2009年3月5日
1917年、旧朝鮮に生まれる。京城帝国大学国文科卒業。広島大学大学院国文研究科修了。関西学院大、桃山学院大、梅花短大教授を歴任。『「死の島」ニューギニア―極限のなかの人間』で、第1回大宅壮一ノンフィクション賞受賞

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言葉がひとつ増えることは、
感じ方、考え方の広がりを意味すると言われる。

「文章の書き方」より

蚤やもぐらの面倒見る大自然の秩序は、
人間の面倒も見てくださる。蚤やもぐらと同様にあせらないで、
されるがままになっていればよいのだ。

「文章の書き方」より

三日書を読まなければ、
理義胸中にまじわらず、
面貌にくむべく、言葉に味わいがなくなる。

「文章の書き方」より

私が人生を知ったのは、
人と接触した結果ではない。
本と接触した結果である。

「文章の書き方」より

一本の木に向かって、そのうちの赤い葉一つだけを見ておれば、
残りの葉は目に入らぬものです。
一つの葉に目をとらわれず、一本の木に無心に向かうなら、
数多くの葉も残らず目に見えるものです。

「文章の書き方」より

自然というのは、
こちらが伸びたらそれだけちゃんとむこうでこたえるというか、
底知れぬ可能性みたいなものがあって、
神秘と申しましょうか、
それにパッといきあたるときに、本当に涙が出る。

「文章の書き方」より
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死者というものは
人間に笑いがあるということを教えてくれるという気がするんです。
笑いというものがあって、
その笑いによって人間はとりかえしのつかぬものであるということを感じさせる。

「文章の書き方」より

権威を過信すれば、人をみる眼も、自分自身をみる眼も曇るだろう。真空を駆けめぐる権威の亡霊を見たように思う。

「極限のなかの人間」より