塩野七生 701

生 1937年7月7日
日本の歴史作家(プロの学術研究者ではなく「小説家」)である。名前の「七生」は、7月7日生まれであることに由来。...-ウィキペディア

兵士ほど、指揮官の能力に敏感な者はいない。
無能な指揮官の下では、無意味に命を落とすことになるからである。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)53p

衰退期に入った国を訪れ、そこに示される欠陥を反面教師とするのは、
誰にでもできることである。
だが、絶頂期にある国を視察して、その国のまねをしないのは、
常人の技ではない。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)21p

自由と秩序の両立は、人類に与えられた永遠の課題の一つである。
自由がないところでは発展も永続もできない。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)23p

衆愚政とは、人材の不足からくる結果ではなく、
制度が内包する構造上の欠陥が表面にあらわれた現象に思えてならない。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)69p

偉大な人物を慕ってくる者には、なぜか、師の教えの一面のみを強く感じとり、
それを強調する生き方に走ってしまう者が少なくない。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)71p

抜本的な改革とは、
それを担当する人間を入れ替えることによって、はじめて十全になされるものである。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)81p
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認識しただけならば、先見性を持った知識人、で終わってしまう。
見え、理解したことを実行に移すには、権力が必要だ。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)91p

人間世界では、はじめから遠い将来まで見透し、
それにもとづいていわゆる百年の計を立て、その計を実行に移せる人間は多くはない。
少ないから、天才なのだ。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)121p

歴史は必然によって進展するという考えが真理であると同じくらいに、
歴史は偶然のつみ重ねであるとする考え方も真理になるのだ。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)171p

歴史の主人公である人間に問われるのは、
悪しき偶然はなるべく早期に処理することで脱却し、
良き偶然は必然にもっていく能力ではないだろうか。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)171p

人間の気分ほど動揺しやすいものはなく、
気分を一新してくださいなどと説いても、なかなか全員で一新できるものではない。
一新するには、一新せざるをえないようにする、
つまりシステム化してしまうしかないと思う

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)203p
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われわれ現代人は、あれから二千人が経っていながら、
宗教的には非寛容であり、
統治能力よりも統治理念に拘泥し、
他民族や他人種を排斥しつづけるのもやめようとしない。

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)209p
この時期のローマを解説する学者たちが厭きもせずくり返す言葉

ゆっくりと、しかし着実に

塩野七生 『ローマ人物語2 ローマは一日にして成らず [下]』(新潮文庫,2002)161p

長期戦とは経済力が優れている側が勝つとは限らない

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)8p

戦争くらい、当事国の民を裸にして見せてくれるものもない

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)8p

プロセスとしての歴史は、何よりもまず愉しむものである。

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)15p

宗教を信ずるか信じないかは、所詮は個人の問題である。
ただし、信ずる者の多い共同体を率いていく立場にある者となると、
個人の心情に忠実であればよいということにはならない。

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)73p

戦争終了の後に何をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる。

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)90p

ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかったところであり、
どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならないとは考えないところであった。

塩野七生 『ローマ人物語3 ハンニバル戦記 [上]』(新潮文庫,2002)104p

誰も考えなかったやり方によって問題を解決するという点ではコロンブスの卵だが、
そのやり方を踏襲すれば誰がやっても同じ結果を産むとはかぎらないという点で、コロンブスの卵ではないのである。

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)48p

優れた武将は、主戦力をいかに有効に使うかで、戦闘の結果が決まることを知っている。
その主戦力を有効に使うには、非主戦力の存在が不可欠であることも知っている。

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)48p

人間とは、自分自身の犠牲は甘受する覚悟にはなれても、
自分の子までが支配階級の無能の犠牲になるのまでは、甘受する気にはなれない

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)74p

天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。
誰もが見ていながら重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)127p

人はみな、自分自身の肌合いに最も自然であることを、最も巧みにやれるのである。

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)130p

年齢を重ねることと慎重であることは正比例と思われているが、必ずしもそうではない。

塩野七生 『ローマ人物語4 ハンニバル戦記 [中]』(新潮文庫,2002)228p