パーシー・ビッシュ・シェリー 94

1792年8月4日 - 1822年7月8日
イギリスのロマン派詩人。...-ウィキペディア

恋人たちの魂は、唇で結ばれる。

福田和彦『痛快!性愛学』(集英社インターナショナル,2001)P47

わたしの胸は重くふさがれているけれど
あなたを苦しめることはしない

あるひとに

あなたのくちづけを わたしは恐れるけれど
やさしい乙女よ わたしのくちづけを恐れないでおくれ

あるひとに

恋のごとくやさしい音楽を
居間にあふれさせて
ひそかに 恋になやむ心をなぐさめる

月が光をふりそそぎ
天にあふれるように
大地も天空も
おまえの声でいっぱいになる

言葉もなく ただ耐えしのぶ
花のいのちは わたしの運命でもあろうか

しおれたすみれに
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この世は わびしい
メアリーよ わたしは
あなたなしに ひとりさまようのに疲れた

メアリー・シェリーに

幻の夢のような接吻を食べている。

詩人の唇のうえにわたしはねむり
恋の達人のように
その寝息をききながら夢をみていた。

「愛」や「希望」や「自負」は 大空をゆきかう
雲のように つかの間しかとどまらぬ。

わたしの心をよみがえらせ
真理と善行へ力づけるまなざしは だれのもの?

ハリエットに
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ギターは鳴っていたが
しらべは あなたがまたうたうまでは
やさしくなかった

ジェーンに

    綺麗な空気感がいい - 銘無き石碑

しずかにみつめるあなたのやさしい眼を
感じ 見るだけで
その他はみな夢にみて 燃え立ち
目には見えぬ炎にひそかに食べられるだけ

あるひとに

わたしらは前を見 うしろを見て
ないものにあこがれる

ひとりぼっちの夜が どうしていいものなのか
言うまい 思うまい 聞くまい おやすみと
それでこそ いい夜となるから

おやすみ

おやすみ? あ! いいえ 不幸な時間
結ばれるものたちをひきさく

おやすみ

詩人の食べるものは愛と名声。

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「月」よ 教えておくれ 青白くほの暗い
天の寄るべない道をいく巡礼よ
おまえが休息をもとめるのは
ま夜中か まひるなのか?

世界をさまようもの

ひとの思いやすがたを すべて
あなたは照らし出し あなたの色できよめる

理想美を讃える歌

そして 愛のかたみに 抱きしめるがいい
時はうつろい 月日が過ぎても
わたしの胸にあつめた小花は
すべて おまえの胸にささげたもの

ハリエットに

そして 愛のかたみに 抱きしめるがいい
時はうつろい 月日が過ぎても
わたしの胸にあつめた子花は 
すべて おまえの胸にささげたもの

ハリエットに

光がカメレオンを変えるように
詩人は日に二十回も
光にあわせて
いつも色を変えるだろうか?

世に愛とよばれるものを、わたしはささげられない、
でも 心が高くかかげ
「天」もこばまぬ崇拝を
あなたは受けて下さいませんか

おまえは夢をみよ
そうして 眠りからめざめて泣くがいい

この世のよろこびは なに?
夜をあざける稲びかり
つかのまのきらめきか