殺人
「われわれの任務は、急襲してなにもかも破壊することだ。全員を殺せ」
「女子供もですか?」
「全員と言ったんだ」
2004年5月10日発行。
さまざまな変数を操ることで、現代の軍隊は暴力の流れを管理し、
水道の蛇口でもひねるように殺人のエネルギーを出したり止めたりしている。
2004年5月10日発行。
ひとりでは殺せないが、集団なら殺せる
2004年5月10日発行。
どんなに訓練を受けてても、第一の本能は死にたくないってことだ。
……だけど、まわれ右して逃げ出すわけにはいかない。仲間の圧力だよ、わかるだろ
2004年5月10日発行。
正気の人間なら望まないこと(つまり殺し、殺されること)を
戦場の兵士が実行する第一の動機は、
自己保存本能ではなく、戦友に対する強力な責任感である。
2004年5月10日発行。
敵を殺す動機と意志は、同輩や仲間の死とともに消滅する。
2004年5月10日発行。
命令があやふやだと銃手は外す
信用できそうに見える者だけが信用される……
2004年5月10日発行。
戦争を理解するには、まず人間の本性を理解することだ。
2004年5月10日発行。
殺人という行為に惹かれるのも、近距離での殺人に抵抗を感じるのも、
多くの場合そのよってきたる源にあるのは人間の邪悪さである。
2004年5月10日発行。
離れて戦おうとするのは人間の本能だ。
最初の日から人はそのために努力し、その後もずっと努力しつづける。
2004年5月10日発行。
ポール・ファシル「戦時」より
私には罪悪感はなかった。達成感もなかった。
2004年5月10日発行。
あのときは大したこととも思わなかったが、いま思い出すと
……私はこの手であの人たちを虐殺したんだ。皆殺しにしたんです。
2004年5月10日発行。
兵士は殺され、傷つく危険を冒しているだけでなく、他者を殺し、傷つけてもいるのだ。
2004年5月10日発行。
成果をあげることは、たちまち士気をよみがえらせる。
……だが、概して時間は兵士の敵である
2004年5月10日発行。
異常な状況に異常な反応を示すのは正常な行動である。
2004年5月10日発行。
若くて元気なうちは頭から閉め出しておけても、
老年になると記憶は夜ごとの夢に戻ってくる。
2004年5月10日発行。
戦争は地獄だ。
2004年5月10日発行。
湿気はライフルだけでなく兵士をも錆びつかせる。ゆっくりと、しかしより深く侵食は進む
2004年5月10日発行。
最も危険な瞬間は勝利の直後である
2004年5月10日発行。
私は恥ずかしい。自分自身の行いが、わが祖国の行いが、
人類全体の行いが恥ずかしい、人間であることが恥ずかしい
2004年5月10日発行。
兵士ほど平和を祈る者はほかにいない。
なぜなら、戦争の傷を最も深く身に受け、その傷跡を耐え忍ばねばならないのは兵士だから
2004年5月10日発行。
人を殺すのに女性のほうが著しく劣っているという証拠はなにひとつない
2004年5月10日発行。