種田正一
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分け入っても分け入っても青い山
炎天をいただいて乞い歩く
笠にとんぼをとまらせて歩く
ほろほろ酔うて木の葉ちる
まったく雲がない笠をぬぎ
笠も漏り出したか
うしろすがたのしぐれていくか
雨ふるふるさとはだしで歩く
晩年の著作
落ちついて死ねそうな草もゆる
抜けたら抜けたままの
歯のない口で
だんだん似てくる癖の
父はもうゐない
ともかく昼寝のまくら一つ持つ
いつか死ねる木の実は播いておく
焼かれる虫の匂ひかんばしく
晩年の著作