ハインリヒ・ハイネ 119

1797年12月13日 - 1856年2月17日
ドイツの作家、詩人、文芸評論家、エッセイスト、ジャーナリスト。デュッセルドルフのユダヤ人の家庭に生まれる。名門ゲッティンゲン大学卒業、法学士号取得。当初は商人、ついで法律家を目指したが、ボン大学でA・W・シュレーゲルの、ベルリン大学でヘーゲルの教えを受け作家として出発...-ウィキペディア

恋に狂うとは、言葉の重複である
恋とはすでに、狂気なのだ。

シェイクスピアの女たち

瞳はまるで碧い菫。
頬はまるで紅い薔薇。
手はまるで白百合の花。
どの花も競うて咲いた。
しかしーこころは腐っていた。

わが君は花のごとくに
しとやかに清くうつくし。

君は花のごとく

手を君の頭に置きて
祈りたき重い湧き出ず。

君は花のごとく

われは一つの花を慕えど、
どの花なるを知らざれば心悩む。

われは一つの花を

わが歌はことごとく
照る恋ゆえにふるえ出ず。

ありとあらゆる花々は
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うぐいすとわれと
共に心は憧れのゆえに痛む。

さて薔薇は誰を恋せる?
それをこそわれは知りたし。

蝶、花うばらを恋い
その花をめぐりて飛びやまず。
されどまた蝶をめぐりて
金じきに柔らかき日の光の恋ごころ漂う。


    これが答えだね。 - 銘無き石碑

星々は光る、無関心に冷たく。
そして一人の愚者が返事を待っている。

問い

恋しい人に失恋したから
墓こそいちばん良い場所だ。

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海と空との大きさよ!
しかも更に大いなるはわが心、
真珠よりも、星々よりも更に美わしく
わが心の愛は輝くなり。

夜の船室にて

ああ、わが心あこがる
悲しく甘き恋のなみだに。
われはおそる、このあこがれの
遂にただあこがれに終わらざるを

ああ、わが心あこがる

彼女が言った。
「わたしの幸福はあなただけ」

ジェニーにおくる

されど聞ゆる忍び音は
嘆く天使の啜り泣き。

いや、俺自身の心の中に
森の指揮者は鎮座まします。
いつでもそれがタクトを取ってる、
その名はたぶん「恋の神さま」

愛のためお前はそんなに屈託しているのか、
これからまた、愛がお前を高めるだろう

こんじきの星が僕を北方へ惹いてゆく。
さようなら、友よ、離れても僕を忘れるな!
忘れるな、忘れるな、詩のこころを!

かくて福祉は三重に重なりて人ら称う
「世を救う人の子に栄あれ」と。

口に言われる言葉は恥らいを失う、
沈黙こそなつかしく貞潔な花。

けれど、尋ねてはいけません、月の光のただよう中で
あの花とその花の死んだ恋びととが、
どんな睦ごとを話したかは。

私たちは話さなかった。
しかし私の心は聴き取っていた、
口には言わずあなたが心の奥で想っていたことを。

妖精が与える恵みについて無駄口をいうのはただ愚者だけ。

彼らの歌がわたしを殺す
欺かれた愛の落胆で。

ざんねんながらあなたの脳味噌には
忘れっぽさが詰まっている。

お別れ