星野さんがその大きな人生を切り拓くことができた決定的な条件は、四つあると思う。
一つは、「できたらいいな」「行けたらいいな」と願ったり憧れたりする対象が、
「北極圏の自然」「アラスカ」という具体的なものであり、
その童心のような夢を高校生になっても大学生になっても抱き続けたことである。
二つめの条件は、感性や想像力が豊かだったことである。
三つめの条件は、勇気を持って行動を起こす人だったということである。
四つめの条件は、
行動中であっても撮影中であっても、考える習慣を持っていたということである。
※いのちや人生や、大自然について深く考えるという心の習慣が、
二つめにあげた感性の豊かさと結びついて、
写真を撮るときの瞬間的な判断と動作に投影されるのだと、私は考えている。

星野道夫 訳/ロバート・A・ミンツァー『未来への地図 新しい一歩を踏み出すあなたに』(朝日出版社,2005)33p,37p
柳田邦夫

柳田邦夫 4

1936年6月9日生まれ。ノンフィクション作家、評論家。


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