中野信子 2

(1975~) 日本の認知科学者。 東日本国際大学特任教授。

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要するに一般的に努力というと多くの人が注目するのは野蛮な部分になるわけです。
結果が出るかどうかに目を向けてしまう。
お金儲けをしよう、勉強できるようになろう、というのも同じです。
野蛮さしか持たない人を信用すべきではありません。
あなたが、その野蛮さの犠牲になってしまうからです。
無駄な部分への視線がない人は、人を傷つけることを厭わないものです。
無駄な部分というのは、じつは、ヒトが仲間を思いやるという行動を
可能にするために生まれた、長い目で見ると役に立つ無駄なのです。

ホモ・サピエンスは、集団をつくることで弱い個体を守ってきたのです。
それが、次世代への貢献だったのです。
長い間かけて進化してきたこのシステムが、
どうして、現代日本では崩壊してしまったのでしょう?
こんな種は、生物として狂っています。
次世代を育む行動が妨害されれば、その集団はいずれ滅びる。
私が書くまでもないことです。
この冷たい狂気の裏側に、
努力へのすがりつくような思い、努力に対する過剰な期待があるのです。