柿本人麻呂 5

斉明天皇6年(660年)頃 - 養老4年(720年)頃)は、飛鳥時代の歌人。

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初恋そのものの本質を十全に表現し得た一首である。

たらちねの母が手離れかくばかり
すべなきことはいまだせなくに

巻11・二三六七
宇治川の網代木に漂う波は、どこへ消え去っていくのだろうか、ゆく方も知れないことよ

物のふの八十氏川の網代木に
いさよふ波のゆく方知らずも

柿本朝臣人麻呂、近江国より上り来る時に、宇治河の辺りに至りて作る歌
巻3・二六四
春楊葛山発雲立座妹念
春柳を鬘にするという名の葛城山に立つ雲のように、立っていても座っていてもあの娘を恋しく思う

春柳 葛城山に 立つ雲の
立ちても居ても 妹をしそ思ふ

巻11・二四五三、人麻呂歌集
大君は神でいらっしゃるから天雲にとどろく雷神の上に廬りなさるのだ

大君は神にしませば天雲の
雷の上に廬りせるかも

巻3・二三五

泊瀬河 夕渡り来て 我妹児が
家の門に 近づきにけり

巻9・一七七五、柿本人麻呂歌集所出の一首