ミシェル・ウエルベック 8
生 1956年2月26日
ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq [miʃɛl wɛlˈbɛk], 1956年2月26日 - )はフランスの小説家、詩人。-ウィキペディア
- 全8件を表示
人がポルノ映画を見てすぐ学ぶことは
髪を後ろにかきあげて、男に、あるいはカメラに
自分の動きをよく見えるようにすることだ。
「ある島の可能性」より
キリスト教徒や、イスラム教徒、ユダヤ教徒と話をするような場合に
僕はいつも、彼らの信仰はいわば
「暗示的なもの」として捉えるべきだと感じた。
彼らが、教義の現実性を、直接的に、本来の意味で
信じていないのはあきらかだった。
ただし、それは確認のしるし、信者の世界にアクセスするための
パスワードの一種ではあった。
「ある島の可能性」より
アイロンをかけたような平べったい顔といい、短い鼻といい
ごわごわでまばらな頭髪といい
彼にはもともと道化の役を演じる素養がある。
彼は、たとえ絶望していてもけっして本気にしてはもらえない
あの醜い者たちに属している。
「ある島の可能性」より
本当に、生きるということは、厳しすぎる。
こんなことばかり考えていたら
最後には自分の頭に銃弾をぶち込むことになるだろう。
「ある島の可能性」より
倦怠を生むのは、焦燥、肉体の焦燥なのだ。
肉体はいずれ死ぬ運命を自覚して焦り
老い先短い、落ち目の、しょぼくれた人生をめいっぱい利用したいと焦り
それなのに、人が皆、老い先短い、落ち目のしょぼくれた存在に思えて
誰も愛することができずに、また焦るのである。
「ある島の可能性」より
過去を振り返るとき、人はいつでも
すべては決定されていたのだという──おそらくは誤った──印象を抱くのだ
「素粒子」より
要するにあらゆる逃げ道が塞がれていた。彼女にできることは、黙って臍を噬みながら、他の娘たちが解放されていくのを見ていることだけ。少年たちが他の娘たちの周りで蟹のようにひしめきあうのを眺めることだけ。他人のあいだに関係が結ばれ、ことが行われ、オルガズムが広がっていくのを感知することだけ。他人が悦びを誇示する傍らで自分が静かに崩壊していくのを徹底的に味わうことだけ。彼女の思春期はこんなふうに展開する運命だったし、実際こんなふうに展開した。嫉妬と欲求不満はゆっくり発酵し、これ以上ない憎悪の塊になった。
「闘争領域の拡大」より
ある意味、哀れなベルナール。彼が一生で行える有意義なこととはなんだろう?フナックでレーザーディスクを買うとか?彼のような男は子供を持つべきなのだ。子供がいれば望みもある。そのうち、うようよいるちびベルナールたちから、なにかを見出すかもしれない。でも駄目だ。彼は結婚さえしていない。からからのドライフルーツだ。
「闘争領域の拡大」より