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私は学殖なきを憂うる。常識なきを憂えない。天下は常識に富める人の多きに例えない堪えない。
「伊沢蘭軒」より
善とは家畜の群れのような人間と去就を同じうする道にすぎない。
それを破ろうとするのは悪だ。
「仮面」より
実に敵という敵の中で山の神ほど怖ろしい敵はいない
「金貨」より
罵言は世間のために風俗を矯る利あるべく、
一身のために信用を長ずる益あるべし。
「語録」より
世間の人は虎を、性欲の虎を放し飼いにして、
どうかすると、その背に乗って逃亡の谷に落ちる
「断片」より
人の光を籍りて我光を増さんと欲する勿れ
「智慧袋」より
おれなんぞの顔は閲歴がだんだんに痕を刻み付けた顔で、親に産み付けてもらった顔とは違う
「半日」より
己の感情は己の感情である。己の思想も己の思想である。
天下に一人のそれを理解してくれなくたって、己はそれに安じなくてはならない
「余興」より
心理学が思量から意思へ、意思から衝動へ、衝動からそれ以下への心的作用へと、次第に深く穿っていく。そして、それが倫理を変化させる。
沈黙の塔