及川肇・遠山善雄・福知貴・伊熊二郎合作集 100

神風特攻隊 及川肇・遠山善雄・福知貴・伊熊二郎の合作集。全員23歳にて昭和20年4月6日、昭和20年4月11日に南西諸島に特攻戦死。

諸共と思へばいとし此のしらみ

待機中、指揮所にて 諸共と 思へばいとし このしらみ
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

殺生は嫌ぢやとしらみ助けやり

待機中、指揮所にて 殺生は 嫌じゃとしらみ 助けやり
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

体当たりさぞ痛からうと友は征き

待機中、指揮所にて 体当たり さぞ痛からうと 友は征き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

痛からう、いや痛くないと議論なり

待機中、指揮所にて 痛かろう、 いや痛くないと 議論なり
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

これでかう、ぶつかるのだと友話し

待機中、指揮所にて これでこう、ぶつかるのだと 友話し
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

最後まで大物(空母)くひと小物(輸送船)くひ

待機中、指揮所にて 最後まで 大物(空母)くいと 小物(輸送船)くい
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。
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十三期特攻専門士官なり

待機中、指揮所にて 十三期 特攻専門 士官なり
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

死ぬ事に馴れて特攻苦にならず

待機中、指揮所にて 死ぬ事に 馴れて特攻 苦にならず
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

特攻も予備士官なる意地があり

待機中、指揮所にて 特攻も 予備士官なる 意地があり
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

アメリカと戦ふ奴がジャズを聞き

待機中、指揮所にて アメリカと 戦う奴が ジャズを聞き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

    あくまでこういう方々が戰っていたのかと思うと、
    何か感じざるを得ません。 - 銘無き石碑

ジャズ恋し早く平和が来れば良い

待機中、指揮所にて ジャズ恋し 早く平和が 来れば良い
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。
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最後まで娑婆気のぬけぬ十三期

待機中、指揮所にて 最後まで 娑婆気のぬけぬ 十三期
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

撲ぐられる度胸の良さも十三期

待機中、指揮所にて なぐられる 度胸の良さも 十三期
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

予備士官なる辛抱に口惜し泣き

待機中、指揮所にて 予備士官 なる辛抱に くやし泣き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

よい天気、今日特攻機何機出る

待機中、指揮所にて よい天気、 今日特攻機 何機出る
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

一人前成つた処で特攻機

待機中、指揮所にて 一人前 成った処で 特攻機
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

出撃の時間くるまでヘボ将棋

待機中、指揮所にて 出撃の 時間くるまで ヘボ将棋
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

Z旗に、来たぞ長さんまってたほい

出撃の命下る Z旗に、 来たぞ長さん まってたほい
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

今日は先づこれまでなりと碁石置き

出撃の命下る 今日はまず これまでなりと 碁石置き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

夕食は貴様にやると友は征き

出撃の命下る 夕食は 貴様にやると 友は征き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

記念品受けて従兵涙ぐみ

出撃の命下る 記念品 受けて従兵 涙ぐみ
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

犬に芸教へおほせて友は征き

出撃の命下る 犬に芸 教えおおせて 友は征き
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

特攻へ新聞記者の美辞麗句

出撃の命下る 特攻へ 新聞記者の 美辞麗句
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

特攻隊神よ神よとおだてられ

出撃の命下る 特攻隊 神よ神よと おだてられ
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。

特攻のまづい辞世を記者はほめ

出撃の命下る 特攻の まずい辞世を 記者はほめ
白鳩遺族会編河出書房版 雲流るる果てに より。