日大芸術学部長賞
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うらら
別れも死もつらい。
でもそれが最後かと思えない程度の恋なんて、女にはひまつぶしにもなんない。
(中略)
だから、今日ちゃんとお別れできて、よかったと思う。
よしもとばなな『ムーンライト・シャドウ』(朝日出版社,2003)107p
- 銘無き石碑
それは切れやすいから。
ワイヤーじゃないんだよ。
時々緩めないと切れるの。 - 銘無き石碑
「風邪はね。」うららは少しまつげをふせて淡々と言った。
今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。
でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変らないからよ。
またくりかえし風邪ひいて、
今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、
本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういう、しくみだから。
そう思うと、
こういうのがまたあるのかっていやんなっちゃうっていう見方もあるけど、
こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?
よしもとばなな『ムーンライト・シャドウ』(朝日出版社,2003)87p
うらら
もうすぐここで百年に一度の見ものがあるのよ。
もうすぐここで百年に一度の見ものがあるのよ。
まだ秘密。でも必ず教える。お茶をくれたから。
よしもとばなな『ムーンライト・シャドウ』(朝日出版社,2003)27p
さつき
大丈夫、大丈夫、いつかはここを抜ける日がやってくる。
よしもとばなな『ムーンライト・シャドウ』(朝日出版社,2003)17p
さつき
夜明けのジョギングをはじめるため、高いスウェットスーツを二着そろえ、シューズを買い、飲み物を入れるアルミの小さな水筒まで買った。
夜明けのジョギングをはじめるため、高いスウェットスーツを二着そろえ、シューズを買い、飲み物を入れるアルミの小さな水筒まで買った。
ものから入門するところが情けない気もするが、前向きなのはいいと思った。
よしもとばなな『ムーンライト・シャドウ』(朝日出版社,2003)16p