読み人知らず、とするしかない一人のローマ人が墓碑に刻ませた一句
わたしは死んで、ここに葬られている。
灰の一つかみでしかなくなったのが今のわたしだが、灰は土になる。
土は大地浸透し、人間世界の土台をつくる。
となれば、わたしは死んではいず、世界中で生きていけるということではないか
塩野七生 『ローマ人の物語28 すべての道はローマに通ず [下]』(新潮文庫,2006)135p
ローマ人の物語