ベルトルト・ブレヒト 6

1898年2月10日 - 1956年8月14日ドイツの劇作家、詩人、演出家。 アウクスブルク出身。ミュンヘン大学時代より文学活動を始め、1922年に上演された『夜うつ太鼓』で一躍脚光を浴びる。代表作に『三文オペラ』『肝っ玉お母とその子供たち』『ガリレイの生涯』など。第二次世界大戦中は…-ウィキペディア

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英雄のいない時代は不幸だが、
英雄を必要とする時代はもっと不幸だ。

あの人(カエサル)は、カネに飢えていたのではない。
他人のカネを自分のカネにしてしまうつもりもなかった。
ただ単に、他人のカネと自分のカネを区別しなかっただけなのだ。

塩野七生 『ローマ人物語9 ユリウス・カエサル ルビコン以前 [中]』(新潮文庫,2004)235p

諸君、あの男の敗北を喜ぶな。
世界は立ち上がり奴を阻止した。
だが奴を生んだメス犬がまた発情している。

First of all, they came to take the gypsies and I was happy because they pilfered. Then they came to take the Jews and I said nothing, because they were unpleasant to me. Then they came to take homosexuals,and I was relieved, because they were annoying me. Then they came to take the Communists,and I

最初、連中(ナチ)がジプシーを標的にした時、わたしは幸せだった。彼らが盗人だったから。
連中がユダヤ人を標的にした時、わたしは何も言わなかった。彼らが私に不愛想であったから。
連中が同性愛者を標的にした時、わたしは平気だった。彼らがわたしをイライラさせていたから。
連中が共産主義者を標的にした時、わたしは何も言わなかった。共産主義者ではなかったから。
ある日連中がわたしを標的にした時、わたしのために抗議してくれる者は、誰一人いなかった。

マルティン・ニーメラー牧師の「最初に彼らが社会主義者を標的にした時、私は声を挙げなかった…」で始まる有名な言葉をブレヒトが自己流にアレンジしたもの。他者への日常的な偏見や無関心こそ、ヘイトの触媒となる事が解る。

    「連中が共産主義者を標的にした時、わたしは何も言わなかった。共産主義者ではなかったから。ある日連中がわたしを標的にした時、わたしのために抗議してくれる者は、誰一人いなかった」の部分の原文表示で以下の箇所が欠落していました。入力ミスと思われます。誠に申し訳ありません。
    I said nothing because I was not a Communist. One day they came to take me, and there was nobody left to
    protest.
    - 名言録
Art is not a mirror. Art is a hammer.

芸術は鏡ではない。芸術はハンマーだ。

社会の偽善と悪を打ち砕くための。
Unhappy the land that is in need of heroes.

英雄を必要とする国が不幸なのだよ。

(『ガリレイの生涯』より)宗教裁判で教会権力に屈し、地動説を撤回してしまったガリレイ。弟子のアンドレアは絶望して「英雄のいない国は不幸だ!」と叫びますが、それに対するガリレイの苦悩の表白。常に「救世主」や「殉教者」の出現が待望され、時にはそうなることを強いられる世界ほど、殺伐としたものはないでしょう。
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