アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ 2

1963年、メキシコ生まれ。ラジオ音楽番組でのDJ、テレビプロデューサーを経て99年、「アモーレス・ペレス」で映画監督デビュー。 作品は他に「powder keg」(01)、「11'09''01/セプテンバー11」(02)、「21グラム」(03)

  • 2件を表示

人種や風景、宗教などの人工的なことが消え去り、どこか深いところで人間はつながっているという感覚になる。人間の痛みや脆さ、傷つきやすさというものが、我々人類全員が兄弟であり、つながることが出来るという希望を与えてくれているのだと。

映画「バベル」の公開初日の舞台挨拶にて。日本人には受けの悪い映画のようですが、自分に理解できたか、楽しめた(笑えた)かは別にして、監督が作品に込めたメッセージに敬意を払って、紹介します。

しかし、撮影を進めるうちに、ほんとうの境界線は言葉ではなく、私たち自身の中にあると気付いた。人を幸せにするものは国によって違うけれど、惨めにするものは、文化、人種、言語、貧富を越えて、みんな同じだ。人間の大きな悲劇は、愛し愛される能力に欠けていること。愛こそが、すべての人間の生と死に意味を与えるものなのに。

監督の制作手記より。三つの大陸でのロケにおいて、無数の言語が飛び交う撮影現場の困難を振り返ったもの。