沈める滝
- 全11件を表示
女の心の中で男が一番に軽んぜられるのは、彼等が情事の秘密を守らない点だ
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P136
アンリ・ド・レニエ
14
フランスの作家・詩人
若いうちはね、城所さん、自分のために女を蹂躙できます。
三十をすぎると、そうそう自分ばかりにかまけてもいられず、
女の身になって考えてやる気にもなるんです。本当の残酷さはそれからはじまるのですよ
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P208
菊池
1
三島由紀夫『沈める滝』の登場人物。顕子の夫。
政治の要諦は、まず冷やすこと、それから急に温めることであった。
温められた人間は、かつて同じ男に冷やされたことを忘れてしまうのだ。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P130
われわれは何も恋文の巧さに動かされはしない。
われわれを動かすのは概してありきたりな、しかし虚飾のない手紙である。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P66
女の真実を信じることと、女の嘘を信じることは、まるきり同じことなんだ
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P60
城所昇
3
財力にも美貌にも恵まれた青年。一夜を共にした女と再び寝ることはない。色を求めるの...
向こうが嘘をついているということを信じたいためには、こちらも嘘をつくべきである。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P59
顕子:私をお憎みにならないの? どうして?
どうして憎む? 君ぐらい僕とそっくりな女に会ったことがない。
君を憎めば僕を憎むことになるだろう。大体僕はあんまり自分を憎まないたちでね
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P35
城所昇
3
財力にも美貌にも恵まれた青年。一夜を共にした女と再び寝ることはない。色を求めるの...
狼を知るには、われわれは狼にならなければならない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P14
まだ持たないものを思い描くことは人を酔わせるが、
現に持っているものはわれわれを酔わせない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P14
孤独というやつがいけない。
空間的に結びつきのない人間が、時間的に持続するわけがない。
俺は何に結びつくことができるだろう。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P11
城所昇
3
財力にも美貌にも恵まれた青年。一夜を共にした女と再び寝ることはない。色を求めるの...
帚:ほうき
帚が、「自分は物を掃くためにある」と確信しているあいだは、
どんなことをしたって帚は孤独にならない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P11