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帚:ほうき
帚が、「自分は物を掃くためにある」と確信しているあいだは、
どんなことをしたって帚は孤独にならない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P11
まだ持たないものを思い描くことは人を酔わせるが、
現に持っているものはわれわれを酔わせない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P14
狼を知るには、われわれは狼にならなければならない。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P14
向こうが嘘をついているということを信じたいためには、こちらも嘘をつくべきである。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P59
われわれは何も恋文の巧さに動かされはしない。
われわれを動かすのは概してありきたりな、しかし虚飾のない手紙である。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P66
政治の要諦は、まず冷やすこと、それから急に温めることであった。
温められた人間は、かつて同じ男に冷やされたことを忘れてしまうのだ。
三島由紀夫『沈める滝』(新潮文庫)P130