パティ・キーンはわざと頭を鈍くしていたが
これはミッドランド・シティのたいていの女にあてはまることだった。
女は大きな動物だから大きな脳を持っているが
つぎのような理由であまりそれを使おうとしない。
人並みはずれた考えは敵を作るおそれがあり
女は、もしいくらかでも安全と心の慰めを求めるなら
ありったけの友人が必要だからである。
そこで、生存のために、彼女たちは自分自身を訓練して
思考機械ではなく同意機械になろうとする。
彼女たちの頭がする仕事は、他人がなにを考えているかを発見し
それから自分もそれを考えるだけになる。

「チャンピオンたちの朝食」より
カート・ヴォネガット・ジュニア

カート・ヴォネガット・ジュニア 6

1922年11月11日 - 2007年4月11日
アメリカの作家。シニカルな作風で知られる。


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