そうよ、ママも風にのってとんできたのよ。
どこから? ママのママって、どこに生えていたの?
遠い、遠い‥‥‥‥‥‥‥、山おくの駅のそば‥。
ある晴れた日、大ぜいの兄弟たちといっしょにとびたったの。
こわくなかった?
ううん、ちっとも。はじめて見る広い世界が、楽しみだったわ。
つかれると列車の屋根におりて‥‥‥、ゴトゴトゆられながら昼寝したの。
夜になるとちょっぴりさびしくなって泣いたけど、お月さまがなぐさめてくれたっけ。
高くのぼって海を見たこともあるわ。青くて広くてとってもきれいだったわよ。
やがて、この町について‥‥‥、のび太さんのお部屋へとびこんだの。
ママ、旅をしてよかったと思う?
もちろんよ。おかげできれいな花をさかせて、ぼうやたちも生まれたんですもの。
ねむくなっちゃった。
じゃあね、歌を歌ってあげますからねんねしなさい。
藤子・F・不二雄『ドラえもん 第18巻』(小学館,1979)187p
ドラえもん
タンポポ親子の会話