私は、知恵があると思われている者の一人を訪ねてみることにしたのです。
それは政界の人だったのですが、
その人を相手に問答しながら観察しているうちに、
次のような経験をしたのです。
つまりその人は、多くの人に知恵のある人と思われているらしく、
また自分でもそう思い込んでいるようだけれども、
実はそうではないのだと、私には思われるようになったのです。
それで、私は彼にそうではないという事を説明しようと努力したのです。
その結果、私は彼にも
またその場にいた多くの人々にも憎まれることになったのです。
また私は彼以上に知恵があると言われている者を訪ねたが、
やはり同じ結果となったのです。
ソクラテス