0 コメント数 シェア ブルーノ・ワルターはウィーン・フィルとの相性が良く、ウィーンを代表する人気指揮者となったが、ウィーン・フィルの本拠地オーストリアはかのアドルフ・ヒトラーの生まれ故郷でもあった。 音楽の故郷であるこの国に、同時にあの憎しみの泉が流れていたことが、悲しいが、否認できぬ事実である。それが広い大衆に支持されていたことが、ナチを権力の座につける助けとなった。心理学をないがしろにしない歴史家だったら、オーストリアの没落自体さえ、この国民性の分裂、あれほど高い文化的気質とあれほど低劣野蛮な傾向との矛盾から説明しかねまい。 自伝『主題と変奏』より 4 タグ