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名譽の戰死、美しい死について、あたゝかい部屋の中で恐らく感激をもつて書かれた、多くの「美しい詩」は、今は苦い微笑をもつて讀まれます。

ヴィットコップ著『ドイツ戦歿学生の手紙』
岩波新書73頁
戦争に甘美なロマンチシズムは無い。

たゞ一つのことを僕はみなさんに繰返し言ふ。
故郷にゐる人たちは、戰争がどんなに凄惨なものであるかを忘れてはならない。
絶えず祈り、眞剣になれ。一切の浮薄なものを捨てよ。
護国の戦士が苦しみ血を流し死んでゐる時に、
笑つたり駄洒落を言つたりしてゐるものを劇場や演奏會から叩き出せ。

ヴィットコップ著『ドイツ戦歿学生の手紙』
岩波新書182~183頁

塹壕に立つたまゝ動いてはならず、炸裂彈や榴彈は來る、といふのでは、
戰ひではあるかも知れないが、活發な行爲ではなく、その恐ろしい反對だ。
それは今日の戰争の厭ふべき點だー
萬事が機械的で、職業的な人間屠殺工業といへるだらう。

ヴィットコップ著『ドイツ戦歿学生の手紙』
岩波新書62頁