麻井蝉丸 16

18歳。静岡県浜松市出身。水商売の母親と子供一人という母子家庭に育つ。口の悪いわがままな不良少年だが、面倒見はいい。不良に育ったのは複雑な家庭環境とかつて自分自身がいじめられていた過去によるものである。虫と犬が苦手。ナツが気になるようで、何かと彼女に絡むことが多い。頭が悪く基本的に行き当たりばったりな行動をとるが、いざというときの機転と勘の鋭さは夏Aの涼にも認められる程である。チームのムードメーカー的存在であり、繁華街で様々な人種を見てきたために人に対する洞察力は鋭い。

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「おっかさんよーー どうやら浜松はなくなっちまったみたいだぜ あんた男運なかったけど 悪運は強いから どっかで生きてるかもしれんけど オレを売った1億 何に使った?おっかさん 男かよ? あんま料理しねえあんたが 唯一作ってたシチュー 作ってみようと思ったけどやり方がわかんねえ さんざ食ったのに 知らねえのな 作り方が わかんねえんだ おっかさん」

「なんで生きてるかなんて どんな時代に生きてたってわかんないもんだぜ」

「あ…あたしあたし プールで25mしか泳いだことないんです 授業でもそれ以上やらなかったし」(岩清水ナツ)

「授業だあ! そうやって枠の中にいたんだよ てめえはよ!」

「びっくりしちゃうよ オレとしたことが 全面的に信用しきってるじゃんか」
多分絶対に裏切って手を離したりしない そう思えるヤツが世の中にはいるんだな

「ジュラシック・パークに出てきそうなヤツだ 名前なんて言ったっけ…」
「おいチビ おまえそのクセやめろや」
「えっ…」
「自分の中だけで会話するクセ。話しかけろや!ジュラシック・パークは観ましたか? あれに出てたのに似てますよね なんて名前か覚えてますか? いじめられるヤツってのは 会話ができねえんだよ 目の前にいるんだから話しかけろやオレらに! 観ましたか?ジュラシック・パーク!ホレ!」
「は…っ はい 観ましたか?」「ジュラシック・パーク 観ましたか?」
「観てねえよ バーカ!」
「意外と 世話焼きだな 蝉丸 ちょっとわかってきたぞ」

ナツ、蝉丸、嵐の会話にて。

「あのなあ、犯罪がバレたわけじゃねーんだから。なかなかやるじゃねーかおまえ。面白いヤツになってきたな。なあ、考えてみろよ。これがここに来る前とか来たばっかだったら、嵐にさくっと渡しただろ。つまんねえ人間だったわけよ。他人のことがどうでもよくなくなったろ?人として深みが出たワケよ。赤飯炊いてやりてえぐれぇだぜ」

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「ナツ、おまえもショックだったんだろ。目標を立てる…ねえ。そんなヤツほんとにいるんだなあ。オレなんかいつ以来よ、小学校?低学年だぜ。夏休みの目標――とかさ。しかも全く達成せずだ。どうせおまえもそのクチだろ。そうやって人生差がついていくんだなあ…」

「あれは怯えてんじゃねえ。ナメられないように攻撃態勢なのさ」

「自分で作ってみて初めてわかるわけよ。料理を残される悲しみを」

「そうやって使用人てのをいじめまくってきたんだろ。あんま幸せじゃねえ子供はよ、人を値踏みして生きてんだよな。こいつは敵か味方か、誰がリーダーか、誰につけばいじめられないか、誰をいじめてもいいか、格付けして生きてんだろ」

「人間、後悔してる時が一番幸せだからさ」

「いやなんでもかんでも当てはまんないけどさ、どうしようもない後悔もあるじゃん。けどたとえば自分のせいで人を傷つけちまった、とかって類はさー、結構酔ってる時があるからさ」
「酔ってる…」
「だってよ、他人の人生に影響を及ぼしたって考えるのは本来気持ちいいことなんだぜ?しかもぐるぐる落ち込んでる間は前に進まなくていいしよ。自分中心でいるのは気持ちよくて幸せじゃん、結局。なかなか自分では気がつかねーんだけどな…。だってよ、ほんとにしんどいのは、自分のケツ叩いて歩き出さなきゃなんねー時じゃん」
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「温室育ちは悪かねえ。なんにでもなれるぜ」

「あのさあ、だから言ったろ、温室育ちは悪かねえって。野に咲くやさぐれた人間は上品にゃなれねーけど、上品な人間は上品な上にやさぐれることもできるんだぜ。気の持ちようでなんにでもなれるのさ」

「学校の連中は無視していい。外にも世界がある。まあ外にももっとひどいイジメもあんだけど。でもバカじゃない人間もいる」

「2種類いるわけよ。いじめられたから他人には絶対しないってヤツと…されたんだからしていいだろって思うヤツと。どっちにしろ囚われちまってるってことになかなか気がつかねーんだよ」

「おまえな!人の意見に「でも」って返すのは失礼だからな」

「あのなあ、こっちの世界来てからはよ、要はアノ自己責任てヤツだろが。安居も嵐も涼もよ、ほかの連中も自分で行きたくて行ったんだぜ。それでなんかあったって誰のせいとか言わねーよ」