末黒野花 11

春のチーム編の主人公。17歳。東京都世田谷区出身。勝気な性格で行動力のある少女。幼い頃から父親にサバイバル知識を教わっており、ナイフの扱いや昆虫にも慣れている。特技はフリークライミング。父親の貴士のことは公務員としての表の顔しか知らなかった。後に7SEEDSプロジェクトの責任者であることを知り複雑な想いを抱くも親愛の情は揺らいでいない。「夏のBチーム」の青田嵐とは恋人同士であり彼との再会が生きる希望となっている。ハルと新巻から好意を寄せられており、自身も新巻に憧れ以上の感情を覚えることがある。 感染の恐れがある毒に侵されたことにより新巻、ハルと共に春チームを離れる。その後、秋チームと合流し竜宮シェルターの跡地で貴士の生前の情報を得る。そして、夏Aチームと合流するも安居と対立し、洞窟の激流に呑まれ消息不明となる。一時期記憶消失になっていたものの回復し、藤子とちさと合流。

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動いてれば 考えなくてすむ 目先のことに必死になってれば 考えなくてすむ 危険の中で緊張してれば 考えなくてすむ 彼のことを考えなくてすむ ここが未来だなんて信じない 誰も信じてない だから明るくいられる だけど 心のどこかで どこかで もう二度と帰れないかもしれないんじゃないかって ねえ 2週間も会わなかったことがある?電話の一本もしないで?あなたに触れなかった日がある?

嵐は 嵐は目をそらさない あたしが怒っててもグチってても まっすぐ向かい合って 真剣に語り合ってくれる 話したい 今嵐と話したい 会いたいよ嵐…

嫌いだったけど イヤなおっさんだったけど ぎりぎりのところで 他人を助けるような人だったんだ

父がよく言ってた どんな時でも衣食住をちゃんとできる人間が一番強い たとえ遭難してても助けが来なくても

髪はもうすっかり バサバサになった 化粧水も乳液も尽きて 日焼け止めも底をつき今に顔もボロボロになる 嵐が見たら 汚くなったなーと思うと思う でも きっと 笑ってくれるんじゃないかな 笑って 抱きしめてくれると思う 嵐 嵐 無事でいて

「音を…楽しむって?そんなの1ミリもありゃしないね」
「…ちがう「楽しむ」ってそうじゃなくてさ」こういう話をよく嵐とした
「オリンピック選手とかがさ 楽しむとか楽しんだとか言って よく非難されてるけど それって」嵐と…
「へらへらして気楽にやります っていうのとは全然違う」
「緊迫した中で極度に緊張して 血管切れそうなプレイをする そのぎりぎりの境地に立つことを 心から震えることを 楽しむという言葉で言うだけだよ スポーツ人でも芸術家でもワーカホリックな人でも その幸せな一瞬を知ってるんだと思う ハルはそうじゃなかった?」

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この世界に来たことは不幸だと思った。自分たちだけひどい目に遭わされたと。でもシェルターに入っても地上に残されても、きっと同じだった。その中で人は生きた。マークたちのように。人だけじゃない。きっと地上でも、生きものすべてが最後の最後まで全力で生きた。助け合いながら、暖め合いながら、愛する人たちを抱きしめながら、きっと。そして今、あたしたちだけが生きている。春のみんなに会いに行こう。そしてもう離れないようにしよう。

嵐がもしどこにもいないなら あたしはここで何をするんだろう 誰かと結婚でもして子供を産んで…? ただ命をつなぐ… ありえないそんなこと じゃあ 生きてる意味はなんだろう ここで生きていく意味は なんだろう なんのために? 嵐がいないのに? あたしたちを勝手に選んだおっさんたち よくきけ 生きるためだけに生きることは できないんだよ!

どうして銃なんか残したんだろう。危険な動物に備えて?もっとほかに残すものがあったでしょうが。首謀者はバカだ。銃を持った人はみんな結局人に向けるじゃないか!

「彼氏とつきあい始めた時はさ、お互い誕生日プレゼントとか必死で考えるじゃん」
「まあね」

「ドキドキしながら買いに行って渡すじゃん。でもしばらくしたら、「何が欲しい?」ってお互いきくようになってさ。確かめるのは間違いなくていいけどさ、でも今思うと手抜きだったよ。相手のためじゃなくて、自分が楽するためだもん」

どうして人間は、ほかの動物みたいに1種類の食べ物だけ食べて生きていけないんだろう。そしたら簡単なのに。いろんなものからいろんな栄養をとらなきゃいけないなんて不便だよね。いや、違うのか。もしそうなら、その食べ物がなくなったら一気に滅びてしまうんだ。「案外、どんな場所でも何を食べても適応できるように人ってうまくできてるのかな」

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