エドモン・ロスタン 3

フランスの劇作家 1868年4月1日~1918年12月2日

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哲学者たり、理学者たり、
詩人、剣客、音楽家、
将た天界の旅行者たり、
打てば響く毒舌の名人、
さてはまた私の心なき-恋愛の殉教者!-
エルキュウル・サヴィニャン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック此処に眠る、
彼は全なりき、而して亦空なりき。

シラノの辞世の言葉
(『シラノ・ド・ベルジュラック』岩波文庫版295頁)
(辰野隆・鈴木信太郎訳)

    映画版でのドパルデューの名演(彼以外のシラノは考えられません。あくまで私見ですが…)を思い出しながら読むとイイ感じです。 - 名言録

うん、貴様達は俺のものを皆奪る気だな、
桂の冠も、薔薇の花も!さあ、奪れ!
だがな、お気の毒だが、貴様達にゃ、どうしたって奪りきれぬ佳いものを、
俺ゃ、あの世に持って行くのだ。それも今夜だ、
俺の永遠の幸福で蒼空の道、広々と掃き清め、神のふところに入る途すがら、
はばかりながら皺一つ汚点一つ附けずに持って行くのだ、
他でもない、そりゃあ…私の羽根飾(こころいき)だ。

(『シラノ・ド・ベルジュラック』岩波文庫版298頁)
(辰野隆・鈴木信太郎訳)

美しく散って行くなあ!樹の枝から土までの短い旅だが、
末期の美しさを忘れないのが実に佳い、地に堕ちて朽ちる恐れも何かは、
散り行く命に飛翔の栄えあれと云う心だなあ!

(『シラノ・ド・ベルジュラック』岩波文庫版283頁)
(辰野隆・鈴木信太郎訳)