0 コメント数 シェア キリスト教徒や、イスラム教徒、ユダヤ教徒と話をするような場合に僕はいつも、彼らの信仰はいわば「暗示的なもの」として捉えるべきだと感じた。彼らが、教義の現実性を、直接的に、本来の意味で信じていないのはあきらかだった。ただし、それは確認のしるし、信者の世界にアクセスするためのパスワードの一種ではあった。 「ある島の可能性」より 4 タグ
0 コメント数 シェア アイロンをかけたような平べったい顔といい、短い鼻といいごわごわでまばらな頭髪といい彼にはもともと道化の役を演じる素養がある。彼は、たとえ絶望していてもけっして本気にしてはもらえないあの醜い者たちに属している。 「ある島の可能性」より 4 タグ
2 コメント数 シェア 倦怠を生むのは、焦燥、肉体の焦燥なのだ。肉体はいずれ死ぬ運命を自覚して焦り老い先短い、落ち目の、しょぼくれた人生をめいっぱい利用したいと焦りそれなのに、人が皆、老い先短い、落ち目のしょぼくれた存在に思えて誰も愛することができずに、また焦るのである。 「ある島の可能性」より 3 タグ ひとりで焦っていればいいさ。付き合いきれないね。 - 銘無き石碑 2019-06-15 12:53:44 UTC 誰かを愛してくれ - 銘無き石碑 2022-08-11 09:44:54 UTC
1 コメント数 シェア 要するにあらゆる逃げ道が塞がれていた。彼女にできることは、黙って臍を噬みながら、他の娘たちが解放されていくのを見ていることだけ。少年たちが他の娘たちの周りで蟹のようにひしめきあうのを眺めることだけ。他人のあいだに関係が結ばれ、ことが行われ、オルガズムが広がっていくのを感知することだけ。他人が悦びを誇示する傍らで自分が静かに崩壊していくのを徹底的に味わうことだけ。彼女の思春期はこんなふうに展開する運命だったし、実際こんなふうに展開した。嫉妬と欲求不満はゆっくり発酵し、これ以上ない憎悪の塊になった。 「闘争領域の拡大」より 1 タグ 面倒くさい奴だな - 銘無き石碑 2023-07-26 19:52:26 UTC
0 コメント数 シェア ある意味、哀れなベルナール。彼が一生で行える有意義なこととはなんだろう?フナックでレーザーディスクを買うとか?彼のような男は子供を持つべきなのだ。子供がいれば望みもある。そのうち、うようよいるちびベルナールたちから、なにかを見出すかもしれない。でも駄目だ。彼は結婚さえしていない。からからのドライフルーツだ。 「闘争領域の拡大」より 1 タグ