アンナ・カレーニナ 66

帝政ロシアの作家レフ・トルストイの長編小説。1873年から執筆を開始し、1875年から雑誌『ロシア報知』(露: Русскій Вѣстникъ)に連載した。1877年に単行本初版が刊行された。『戦争と平和』と並ぶ作者の代表作であり、現代に至るまで極めて高い評価を受けている。 ...-ウィキペディア

つまりだな、あんたには誇りというものがないのだ、
品位というものがないのだ。

リョーヴィンのほうが千倍もりっぱな人間だ。
ところが、あのペテルブルグの伊達男はどうだ、
あんな連中は機械ででも作れるんだ。

いや、このおれまでが、
今までよりも善良で、純潔になったような感じだ。
おれにも心というものがあって、いいところがたくさんあるような気がしてくるよ。

名馬はその烙印により、恋せる若者はそのまなざしによって見分けられる

その反対に、その幸運者の中に、勝利のもととなった特質を
発見することをなによりも望んで、激しい心の痛みを覚えながらも、
ただ相手の良いところばかりを捜す人間もいるのである。

つまり、そんな回転するテーブルなんてものは、
いわゆる教養ある連中が百姓以上でないってことを証明しているだけですよ。

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われわれは自分の知らない電気の存在を認めてるじゃありませんか。
それじゃ、われわれにとって未知の新しい力があってもいいじゃありませんか。

それも、相手がひじょうな美人だったからでも、その姿全体にただよっている
繊細な感じや、つつましい優雅さのためでもなく、
相手がそばを通りすぎたとき、その愛らしい表情の中に、
一種独特ないつくしむような、優しいところがあったからであった。

まあ、ほんとにこの世には悲しいことや不正なことが多いのねえ。

自分を治療することは、まるでこわれた花瓶のかけらをくっつけるのと同様に、
まったくこっけいなことに感じられた。

なぜあんなけがらわしい、卑劣な人間を罰する法律がないんでしょうね

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神さまはお慈悲ぶかいからな・・・・・・ありがたいことだ・・・・・

あたしって、とても気位の高い女ですから、
こちらを愛してもくれない人を恋するなんて、絶対に、しないわ

さながらこの涙は、ふたりの姉妹の心を通わせる機械の回転に、
なくてはならない油のようなものであった。

あなたはあの人にとってなにか詩的な崇高なものだったのよ。

あたしもあの空色の霧のような気持ちを覚えていますわ、知ってますわ、
まるであのスイスの山にかかっている霧のような。

あの霧は、今にも少女時代を終わろうとする幸福な時代には、
なにもかもすっかり包んでくれるものなんですのね。

ぼくはあなたのいるところへ行くのです、
今のぼくはこの人生におけるいっさいの幸福も、生活の唯一の意義も、
ただあなたに会い、あなたの声を聞くことしか認めていないのです、

ヴロンスキー

恋愛結婚ですって?
まあ、なんて旧式な考えをもってらっしゃるのでしょう!
いまどき恋愛結婚なんてことをいう人がございまして?

嫉妬は恥ずかしい、卑しむべき感情

世間には一定の礼儀上の掟があって、
罰を受けずにそれを踏み越えることはできないのだ。

わたしたちの生活は人間ではなく、
神によって結ばれているのだ。

春は計画と予想の季節である。

でも、ぼくは恋愛のない人生なんて認めないね

だいたい、女ってやつはいくら研究しても、そのたびにまったく新しい面を表わすもんでね