不和

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二部屋からなる陰気な地下の住居に、労働者の七人家族が住んでいるとする。
五人の子供の中に、男の子が一人いる。
仮に三歳としておこう。ちょうど物心がつく頃だ。
頭のよい子なら年をとっても、この頃の思い出が残っているものである。
だが、場所の狭さと過密がお互いの関係をまずくして、往々にして争いと不和が起こる。
人々は一緒に生活しているのではなく、むしろ押しあって生活しているのだ。
広い住居にいるなら、ちょっと距離を置いて頭を冷やすことで仲直りできることでも
ここでは果てしない、陰湿な対立として続く。
子供の場合はもちろん、我慢できる。かれらはこういう状態では必ずけんかをするが
互いにすぐけろりと忘れてしまう。
だがこの争いが両親の間で行われ、毎日のように内心の下品さを容赦なくさらけ出すと
こういう情操教育は、必ず子供を蝕んでいく。
父から母に対する暴力、酒を飲んでの虐待となると、子供にあらわれる結果はどうなるか。
こういう境遇を知らない者には、想像すらできないだろう。

6歳になれば、この小さな憐れむべき子供にも、大人でさえ恐ろしいと感じるほどの境遇に自分が置かれていることを知り始める。
公立学校に入るのである。かろうじて読み書きだけは覚えるが、ほとんどそれで全部だ。
家庭で勉強は話題にさえならない。
むしろ逆に、父母は口にするのもはばかられる言い草で、教師と学校について、それも子供たちに向かって悪口を言う。
アドルフ・ヒトラー 名言数 372

オーストリア及びドイツ国の政治家、軍人、画家。 文献によってはヒットラー、ヒッ...-ウィキペディア

すご - 銘無き石碑
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