この世界に一人として私の奴隷はいませんし、
私のためにただ働きをするものもいませんからね。
私には心配な取引や訴訟がありません。政治的、物質的、精神的などんな異変にも、いささかも不安を抱きません。
人間のあいだになくてはならないきずなが存在するかぎり、
私は生きていくでしょう。
そのきずなとは、人間が互いを必要とするということです。
『パリの夜』
岩波文庫26頁