絶望はなく人にもこびず
施しを求めずほどほどに暮らす
心地よい充足がただあるのみ
平凡こそが達人の道
過剰に求めず執着もなく
ブナの木が灼熱の陽をおおい
嵐の海にも苦の世間にも遠く
勤勉に慎み深く生きてゆきたい
質素な床で眠り
貞淑な妻が寄り添い
幼い息子の安らかな寝息
亡き父の肖像画が守り札
足りるを知り
不足を考えにいれず
笑って死にゆくのだ
墓は緑の芝生だけでよい
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