物を考えるところは脳髄ではない
神経細胞の大集団は、
全身の細胞各個に含まれている意識感覚の各種類にそれぞれ相当する、
泣き係、笑い係、見係、関係、惚れ係なぞいう、
あらん限りの細かい専門に分れながらアノ通り、夜となく昼となく、
全身三十兆の市民の気持ちを隅から隅まで反射交感させられているのだ

夢野久作『ドグラ・マグラ』(社会思想社,1976)
正木敬之

正木敬之 2

九州帝国大学精神病科教授。従六位。「狂人の解放治療」なる計画の発起人。学生時代から常人の理解を超越した言動で周囲を驚かせてきたが、すべては「狂人の解放治療」を見据えてのことだったらしい。若林博士の言葉によると、「私」が目覚める1ヶ月前に自殺したらしいのだが…。


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