ナナミーは、ナポレオンという男に対して興味がもてない
家族親族に囲まれた男は、
戦う家長ではなるかもしれないが、男の匂いを失うことを宿命づけられる。
家族の写真を見せてはその話に熱中する男に似て、
そこには、責任感あふれる申し分ない家長はいても、
女の血を騒がせる、セクシーな男はいないからである。
塩野七生『男の肖像』(文藝春秋,1992)120p
塩野七生