世界の強盗(ローマ人)はすべてを荒して陸地を去り、もう海を探している。
敵が金持ちのばあい、ローマ人は貪欲であり、
敵が貧しいばあい、ローマ人は野心的となる。
全人類で彼らだけが、自分の富と世界の貧窮を、同じ熱情で欲している。
略奪し、殺戮し、強盗することを彼らは支配という偽りの名で呼び、
人住まぬ荒野を作ると、そこを彼らは平和と名づける。
(弓削達『ローマはなぜ滅んだか』)講談社現代新書)198頁