自分には幸福も不幸もありません。
ただ、一切は過ぎて行きます。
自分が今まで阿鼻叫喚で生きて来た
所謂『人間』の世界に於いて、
たった一つ、真理らしく思はれたのは、
それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます
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寄せられたコメント
「世渡りの才能。……自分には、ほんとうに苦笑の他はありませんでした。自分に、世渡りの才能! しかし、自分のように人間をおそれ、避け、ごまかしているのは、れいの俗諺の『さわらぬ神にたたりなし』とかいう怜悧狡猾の処生訓を遵奉しているのと、同じ形だ、という事になるのでしょうか。ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間違って見ていながら、無二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。」 - ルンペン