俺は 貧乏人を救いたくて作家になった!
みんな 俺がいるぞ! 俺がいるぞ! って……
けど 貧乏人どもは字なんか読めやしない!
恐ろしいんだよ! …世の中は恐ろしい!
昨日まで鼻もひっかけなかった連中が 今日は“先生 先生”だ!
いつ また引っくり返ることか…!
金沢の貧民街に 俺は大勢の人間を置き去りにしてきた!!
あの貧民どもは 俺の仲間じゃないのか!
女郎どもを救いたい! あの貧民どもを地獄の生活から解放したい!
“ああ 自分は どうなっても構わない…”
“自分の生は それのみの為めの…”
クク…ハハハ(笑い声)
『あゝ この大いなる願いが、自分の一命を必要とするならば
自分は死ぬべき時に死にもしよう! 「地上」第一部より』

森田信吾 『栄光なき天才たち 10』(ヤングジャンプ・コミック・スペシャル,1990)159p
島田清次郎

島田清次郎 6

1899年2月26日生まれ。日本近代文明史から抹殺された作家。


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