人々を惹き付けて、残酷にもすり潰してしまうこの大都会に嫌気がさした。
かれらが出てきたときは、まだ国民として数えられていた。
しかし、かれらがとどまれば、やがて国民ではなくなっていく。
不運にも長い間仕事がみつからなくても、はじめのうちは絶望する必要はない。
しかし健全な働き場所を短期間で失うと、困ったことになる。
新しい仕事を見つけることは、特に冬は、不可能ではないが大変困難である。
はじめの数週間はなんとかなる。かれは失業手当をもらい、可能な限り切り詰めるだろう。
だが最後の一銭を使い果たし、手当てが止まった時、大いなる困窮がやってくる。
空腹をかかえてうろつきまわり、最後にとっておいた物まで質に入れるか、あるいは売り払う。
肉体的不幸に加えて精神までも冒され、外見も冴えなくなる。
宿もなく、これがもし冬ならば(しばしばそうなのだが)大変につらい。
やがて、ついにかれは仕事をみつける。しかし、まだ失ってしまう。
二度目は同じようなものでも、三度目はもっとつらい経験になりうる。
このようにして、本来勤勉であったかもしれない人間も、人生観を保てなくなり、他人を利用し利用される道具になっていくのである。
この経過をわたしは幾度となく目の前で見た。
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