ことばも賤しく、態度も卑屈で、目上の人には一言も逆らわず
立てと言われれば立ち、踊れと言われれば踊り、その態度はまるで痩せた飼い犬だ。
平民の根性は依然として旧の平民に異ならず、言語も賤しく応接も賤しく、目上の人に逢えば一言半句の理屈を述ぶること能わず、立てと言えば立ち、舞えと言えば舞い、その柔順なること家に飼いたる痩せ犬のごとし。実に無気無力の鉄面皮と言うべし。
福澤諭吉