ケインズ的福祉国家では、職を失えば失業手当が給付され、労働能力を失えば市場の外側で政府がさまざまな現金給付を実施してきた。そうした現金給付を廃止したり、縮小すれば、人間は飢餓という貧困への恐怖におびえ、単調な非人間的労働にも耐えるようになる。それが新自由主義の政治思想である。

『人間回復の経済学』より
神野直彦

神野直彦 2

1946年2月9日生まれ。経済学者。東京大学教授。専門は財政学、地方財政論。ドイツ財政学を継承し、シュンペーターの財政社会学を発展させようとしている。埼玉県出身。国土審議会土地政策分科会会長。


寄せられたコメント(0)

コメントはまだありません...

コメント戴ける場合はこちらから