新巻鷹弘 12

冬のチーム編の主人公。高校2年生。神奈川出身。野球部で、50年に一人のピッチャーと言われるほどの逸材。甲子園のヒーローで、種の中でも嵐・花・万作もファンだった。冬のチームでただ一人生き残った後、春のチームと合流するまで15年の間たった1人で放浪する。この間北海道に生息する野犬を飼いならし、多数の野犬に囲まれながら旅をした。彼の中で犬達は孤独を忘れさせるかけがえのない存在となっている。 東京の廃墟で夏のBのナツ、嵐、蝉丸と遭遇するも嵐が自暴自棄になっていたこともあり拒絶されてしまう。その後春のチームと合流し共に生活する中で花の存在が大きくなっていく。とても温厚な性格だが、花のレイプ未遂を知った時に激怒し、安居に石を投げつけ負傷させてしまう。美鶴に続き花をも守れなかった自分の無力さ痛感し、花を探すため、また自分を見つめ直すためにあゆとの二人旅に出る。

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「溺れてたあなたに言っとく 自分で死んじゃダメだよ あなたは独りじゃない そんな言葉は 普通の日常に使ったら とても白々しいけど でもここでは ここでは とても 素晴らしくて 大切なことなんだ あなたたちは独りじゃない」

「僕が自分で決めて来たんだから 自分で決めたことは後悔しないから ピッチングも同じです 自分で決めて投げた球はどんな結果になっても納得がいく 逆に迷ったまま 違うんじゃないかなーとか思いながら 言われる通りに投げたりすると悔いが残ります 僕は悔いの残らないようすると決めてるんで」

「なんで…そんなに優しくしてくれるんですか 会ったばっかりなのに」(末黒野花)

「あなたがたにはわからないかもしれない 僕がどれほど人に会いたかったか あなたが笑いかけてくれて どれほどうれしかったか」

好奇心の強い無鉄砲な子供は 必ず何かのエサになる

彼女は笑った 僕はこの人に会うために 生きてきたんだと思った

「僕は やっと会えたあなたを 絶対に死なせない!」

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「気持ち悪いでしょうから 見ないで」(末黒野花)

「花さん それは病気の症状だよ 気持ち悪いものというなら僕はいろいろ見てきたけど これは当てはまらない 大切な人の病気を 誰が気持ち悪いと思うだろう」

「さっきから皆さん、その言葉を気軽に使うけど、人の死は無駄だったり無駄じゃなかったりするものじゃないと思います。僕は、僕の友達や火野選手が必死で生きて死んだことを、無駄なんて言葉で言われたくない。無駄になるとか無駄にしないとか、亡くなった人に失礼でしょう」

「僕に一つ言えるとしたら、その虎はあなたを恨んではいないし、あなたに感謝してもいないということだよ。彼らはそんな風に考えない。ただ生きて、死ぬ時に死んでいく。こんなに苦しいなら殺してほしい、とも思わないし、殺されるならあなたに、とも思わない。あなたに殺されてうれしい、とも悔しい、とも思わない。彼らが何を望んでいるか、僕らにはわからない。わからないんだ源五郎くん。だからね、僕らは自分の気持ちで判断するしかないんだ。」
「自分の気持ち…?」

「うん。どれだけ愛したか。あなたはそうするしかないと思ったんでしょう?そして自分の手でそうしたんでしょう。だったら悔やむことは何もない。もしあなたが怠けて、楽をするためにそうしたとか、ほかに手があったのに面倒だったからそうしたとか、そうだったら死ぬまで後悔すればいい。でも全力で考えて、全力を尽くして、それ以外にないと心で判断して、その手でそれをしたんでしょう。どれだけ本気で考えたか、どれだけ目をそらさずにいたか、どれだけ本気で向き合ったか。それが人のエゴだとしても、僕らはそれでしか、自分の気持ちでしか結果を判断できないんだ。虎はあなたを恨んでもいないし、あなたに感謝してもいない。これは僕の考えだけどそう思う。虎は犬とは違うだろうけど。死んでゆく時にたった独りで、弱さを見せない動物だろうけど。でも、その虎は最後にあなたを見た時に、ほんの一瞬でもきっとうれしかったよ。きっと。そう思う」

「花さんは言わないと思う、殺してくれとは。おまえらと同じになるから。それが人だと、人がそうだと言うなら、僕は獣でいい。彼らと同じがいい」

「でもそんなふうに、自分をかわいそうだと思うのはよくない傾向だって、彼らを見てたらよくわかった。今みんなの寝顔を見てて思いました。これだけたくさんの人に会えて、僕は今幸せだって」

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「もし大事だなと思える人がいたら、離れたくないと思う人がいたら、無条件で愛おしくて抱きしめたいと思う人が…いたら、その人をつかまえてください」