人間が己れの手と足で立とうと決意したとき、今まで己れの存在を形づくってきたものが、いかに弱い基盤の上に立っていたかを知る。彼はおのれの足を作りながら歩かねばならないのだ。それは、まさに血みどろの闘いである。しかし、そのとき初めて彼は己れの足を、手を、己れ自身をもつことができるのだ。

人生とは「おのれの足を作りながら歩く」こと。苦しくて当たり前。「血みどろ」になって当たり前。それを避けていたら「人間」にはなれない。
高野悦子

高野悦子 1

(1949~1969)学生運動家。『二十歳の原点』著者。立命館大学3回生時、闘争に悩み抜き迷い抜いた末鉄道自殺を遂げる。『二十歳の原点』は残された日記を父がまとめたものである。著書は他に『二十歳の原点序章』『二十歳の原点ノート』がある。すばらしい詩の才能を示している。彼女ほど真剣に、真摯に人生に向き合った人を他に知らない。


寄せられたコメント(0)

コメントはまだありません...

コメント戴ける場合はこちらから