官僚なり軍人なりの行為を制約しているものは少なくも第一義的には合法性の意識ではなくして、ヨリ優越的地位に立つもの、絶対的価値体にヨリ近いものの存在である…。法は抽象的一般者として治者と被治者をともに制約するとは考えられないで、むしろ天皇を長とする権威のヒエラルヒーに於ける具体的支配の手段に過ぎない。だから遵法ということは、もっぱら下のものへの要請である…。我が国に於ては「卑しい」人民とは隔たっているという意識が、それだけ最高価値たる天皇に近いのだという意識によって更に強化されているのである。
(丸山眞男著『超国家主義の論理と心理』岩波文庫版25~26頁)「改憲」に騙されてはならない。
丸山眞男